「あきたこまち」がフィンランドへ輸出開始 米を使った伝統料理が多く、日本米の消費者も増加
海外で日本食が人気になっていることで日本米の輸出率も年々上昇しています。近年、ヨーロッパの中でもフィンランドが群を抜いて日本米を輸入するようになりました。今回は、そんなフィンランドでなぜここまで日本米が人気になっているのかを詳しく紹介します。
あきたこまちがフィンランドへ
近年ではフィンランドで寿司の人気が高まっており、2022年4月には秋田県産の「あきたこまち」がフィンランドへ輸出開始になりました。フィンランドの首都ヘルシンキに到着後、日本食材店や現地の大型スーパーなどで販売されています。
あきたこまちはどのように使用される?
秋田からヘルシンキへ輸出された15トンものあきたこまちは、主に寿司のシャリとして使用されることが予測されており、その大半をフィンランド人が消費するとされています。
寿司の他におにぎりや定食などに日本米を使用する日本食材店やレストランも増えているので、あきたこまちをはじめとする日本米は今後ますます需要が高まるでしょう。
また、秋田県はヘルシンキで開催されるイベントで秋田県産の日本食を販売するなどの取り組みを行っています。ヘルシンキを含むヨーロッパではこのような食に関するイベントが数多く開催されるので、日系企業はこのような機会を利用することで日本食品の魅力を世界に発信していけるでしょう。
日本米はフィンランドで人気?
「そもそも日本米はフィンランドでどのくらい人気なのか?」「現地では日本米はどのようにして消費されているのか?」と疑問に思いますよね。
ここからはフィンランドの日本米について書いていきます。
寿司の人気に伴って日本米の人気も急上昇中
フィンランドではす寿司がブームになっており、日本食レストランでは日本米を使用した寿司のビュッフェ、大型スーパーでは寿司の量り売りなどが大人気となっています。
フィンランドでは米をお粥として食べるのが一般的なので、現地で販売されている米は日本米と違い味や粘り気が弱く、寿司との相性があまり良くないのが問題でした。
そこで本場の上質なネタと日本米を使用した寿司の販売を始めたところ、寿司ブームが巻き起こったと考えられます。
今後、フィンランド人が自宅でも簡単に寿司が作れるように寿司セットなどと一緒に日本米を並べ、寿司や日本米を使用したレシピなどの紹介本を置いておくと良いかもしれませんね。
フィンランドの日本米輸入量はヨーロッパ第3位
農林水産省のデータ(2022)によると、フィンランドの日本米輸入率はイギリス、ロシアに続く第3位となりました。
2018年のデータと比べると約4倍以上の輸入率となっており、フィンランドでの日本米に対する需要の上昇が一目で分かります。
参考)https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/kome_yusyutu/attach/pdf/kome_yusyutu-62.pdf
日本米の輸入量がここ数年でここまで上昇したのは、フィンランドで日本食がブームになっていることと、ヴィーガン(ビーガン)やベジタリアンに和食がウケているからと考えられます。
日本米消費者の大半がフィンランド人
ヨーロッパの中でも日本米輸入が多いイギリスでは、日本米の消費者は現地の日本人駐在員が多いと言われますが、フィンランドではフィンランド人の消費者も多くなっています。
その理由は、日本米を使用した日本食ブームが到来したからです。現地のスーパーや日本食レストランへ日本米を導入することで、フィンランド人の消費者も増えていったと考えられます。
今では日本食レストランや現地スーパーの寿司に日本米を導入したおかげで日本からの輸入が増えましたが、自宅でも日本米を食べられるようになると日本米の知名度もどんどん上がっていき、より多くの消費者が見込まれるでしょう。
電子レンジに入れておくだけで炊きたてのごはんが食べられる商品や、パックごはん、お粥パックなどがあると、自宅でも簡単に日本米を楽しめると評判になるでしょう。
フィンランドではジャスミン米などあらゆる国の米が販売されており、ヨーロッパで作られたジャポニカ米なども人気です。
その中で日本米を際立たせる為には、分かりやすいパッケージや比較的手に入れやすい商品価格の設定、限定商品の販売、高い評価などが必要になります。
フィンランドの米を使った料理
フィンランドには米を使ったさまざまな伝統料理があります。
日本のように主食として食べるのではなく、お粥やスナックとして調理されることがほとんどです。それでは実際にどのような料理があるのか紹介していきます。
フィンランドのミルク粥「リーシプーロ」
朝食の定番であるリーシプーロは、牛乳と砂糖に米を煮込んだミルク粥です。シンプルに塩だけで味付けしたり、フルーツなどを乗せたりとな食べ方があります。
今では日常的に食べられるようになったリーシプーロは、本来クリスマスに食べられるお祝いの為の料理でした。現在では手頃な価格で米が手に入るようになり、朝食として食べられるようになっていきました。
郷土料理の「カレリアパイ」
フィンランドの郷土料理であるカレリアパイは「カレリアンピーラッカ」とも呼ばれ、朝食やスナックとして食べられるのが一般的です。
見た目は少し餃子に似たような形をしており、薄く伸ばしたライ麦の生地の中に米を使ったミルク粥が入っています。
カレリアパイは現地のスーパーやパン屋などで手軽な値段から購入でき、日本のおにぎりのような存在として親しまれています。
クリスマスの定番料理「キャセロール」
1800年代からクリスマスの定番料理としてフィンランドで親しまれているキャセロールは、人参やジャガイモ、キャベツなどを使用したオーブン料理です。
キャセロールはグラタンに似ており、野菜と他の材料に米を耐熱皿に入れオーブンで焼くだけです。
フィンランド人は料理に時間をかけたくない人が多いので、オーブンに入れておくだけでできるキャセロールは人気です。
米のパンケーキ「リーシリエスカ」
ミルクで煮た米と小麦粉、卵、バターなどを混ぜて作るパンケーキは作り方もシンプルで、色々な代用品を使用しても作れるので人気です。
フィンランドでは意外にも小麦やグルテンのアレルギー持ちが多い為、使用する粉だけを変えても作れる料理が重宝されます。
見た目は分厚いホットケーキのようで、トッピングはハムやチーズを乗せたり、フルーツやベリーなどのソースをかけてデザートとして食べるたりするのが一般的です。
子供にも大人気のデザート「リーシフルッティ」
朝食や昼食時によく出されるリーシフルッティは、ミルク粥とジャムを混ぜたおやつ的な存在です。
大抵は現地のスーパーやコンビニで販売されており、価格も高くないので子供から大人まで幅広い年代に親しまれています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?近年日本米の浸透化が進んでいるフィンランドの背景では、寿司ブームが追い風となっています。
日本米を使用した寿司を食べる機会が増え、日本米を好んで購入するフィンランド人が増えている今、日本米をもっと売り込んでいく見込みがありますね。
寿司の他にも日本米をふんだんに使用した日本料理を売り出していくと、さらに海外へ向けた日本米の輸出率が上がっていくのではないでしょうか。