チェコの食文化や日本との関係から見る日本食事情 ライスペーパー巻き寿司やビーガンラーメンなど独自の料理が登場

最終更新日

チェコと日本には古くから深い繋がりがあることを知っていますか?

政治分野、経済分野、文化・スポーツ分野でさまざまな交流が行われ、2020年には日本とチェコの交流100周年を迎えました。

このような深い関係のある両国ですが、「食」に関してはまだまだお互いに知名度が低いと言えそうです。

そこで今回は、チェコの基礎知識を紹介しながら、チェコの食文化や日本食事情、またチェコで生み出されたユニークな日本食を紹介していきます。

チェコとはどんな国?

チェコはヨーロッパの中心に位置する国で、首都はプラハです。チェコと言ったらビールやガラス工芸、チョコなどのお菓子でも有名ですが、その中でもプラハは世界一美しい街として知られています。

チェコの人口は約1051万人で、国の面積は日本の5分の1ほどです。(※2022年時点)世界遺産に登録されている建築物が多く、世界遺産を一目見ようと世界中から観光客が訪れます。北海道とほぼ同じ広さをしたチェコは、そこまで大きな国ではありませんが世界遺産が数多くあり、美しい街並みも堪能できるので魅力的な国と言えるでしょう。

日本とチェコの関係

日本とチェコが外交関係を開設してから2020年で100周年となりました。実は、原爆ドームの設計者がチェコ人建築家であったり、日本からチェコへの累計投資額が世界第2位であったりと、日本とチェコは深い繋がりがあるのです。現在チェコには約280社の日本企業が進出しており(※2021年時点)、他にもスポーツや文化分野の交流も多くなっています。

チェコの主要産業は自動車などの機械工業で、主に機械類などを輸入しているようです。2021年の財務省貿易統計によると、日本からチェコへの輸出額は2,392億円で輸出物は電気機器・一般機械などが中心となっています。

参考:外務省「チェコ共和国 基礎データ」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/czech/data.html

チェコの食文化

主食や副菜をまとめて一つの皿に盛り付けるのが一般的なチェコの食文化は、日本の食文化とは全く異なります。チェコは肉がメインなので脂っこい料理も多く、和食のようなヘルシーな料理が少ないところも大きな違いと言えますね。それではチェコの食文化について詳しく見てみましょう。

ビールの消費量は世界1位

チェコはビールの消費量が世界一位となっており、一人当たりの年間消費量は192リットルです。(※2018年時点)これはジョッキで例えると約441杯ものビールを消費していることになります。ビールで有名なドイツよりも消費量が多いとは驚きですね。

主食は茹でパン

チェコでは茹でパンをちぎってシチューと肉汁にからませて食べるのが一般的です。茹でパンには小麦粉を主材料とした物とジャガイモを練り込んだ物、古いパンを練り込んだ物の3種類があります。糸で切らないと崩れてしまうほど柔らかな蒸しパンはほのかに甘く、肉料理と非常に相性が良いようです。

メインは肉料理が多め

チェコで最も消費されている豚肉は全体の肉消費量の半分以上を占めています。豚肉が人気な理由は、牛肉や他の肉よりも調理時間がかからず味が美味しいからとされていて、特にハムやベーコン・ローストポークなどが人気となっているようです。

豚肉の他に、鶏肉・牛肉・アヒル・ガチョウなど様々な肉の種類を使用した料理が食べられています。ここまで肉料理の種類が多いのはビール消費量が世界一位であるチェコならではとも言えますね。

クリスマスには鯉を食べるのが伝統

日本では鑑賞を楽しむために飼われることが一般的な鯉ですが、チェコではクリスマスに鯉を食べるのが伝統となっています。

クリスマスで出される鯉は全身を無駄なく使用されるのが特徴です。鯉のフライとして食事もしますが、鯉のうろこを1,2枚ほど財布に入れておくと1年間お金に困らないという言い伝えがあるので、残ったうろこ部分も大事にされています。

チェコの日本食事情

近年チェコでは寿司ブームになっており、様々な寿司屋が立ち並んでいます。中にはコスト削減のためにアレンジを加えた日本食を出している寿司屋もあるようです。ここからは、チェコで日本食がどのように捉えられているのかについて詳しく紹介していきます。

チェコでは高級料理の日本食

チェコは内陸国なので日本食材を輸入するとなるとコストが大幅にかかってしまい、日本の倍の値段で販売されることになります。

例えば、日本のスーパーなどに格安で販売されている100gの刻み海苔が、チェコでは約800円で販売されているのです。そのため日本食レストランなどでは少しでも輸入コストを抑えようと、独自の日本食を作るところが増えてきました。

また、現地に住む日本人は日本から日本食材を発送してもらったり、アジアショップで販売されている中国産や韓国産の食材を購入したりする方が多いようです。

日本料理の知名度はまだまだ低め

「寿司と天ぷらが日本料理であることは知っているけど、実際に食べたことはない」というチェコ人が多くいます。理由としては、日本食材は高級品と認識されているため、日本料理をなかなか食べる機会がないからと考えられるでしょう。

その他に、現地のスーパーではおにぎりが販売されていますが、日本のおにぎりに比べるとどうしても精度が低くなってしまいます。チェコで日本と同じ味を食べるのはまだまだ難しいのかもしれません。

独自に進化したチェコの日本食

チェコではコストを抑えるために独自の日本食が出てくるようになりました。ちょっとしたアレンジを加えることで、高級な日本食材を輸入するよりもコストを抑えることができたり、輸入するまでの諸々な業務を減らしたりすることができるので一石二鳥なのかもしれませんね。

それではチェコで進化した日本食について詳しく紹介していきます。

ライスペーパー使用の巻き寿司

巻き寿司に必要な焼き海苔はチェコでは高級食材となってしまうので手に入れるのにも一苦労。チェコにあるレストランでは、ライスペーパーやワカメなどの海藻を焼き海苔の代用として使用しているようです。

日本人が見るとギョッとするかもしれませんが、見栄えは悪くなく、ビーガン(ヴィーガン)人口も多いチェコでは親しまれているようです。

バターフィッシュの握り

バターフィッシュは日本で言うエボダイ(イボダイ)のことで、日本ではあまり食べられていない魚でもあります。

チェコには海がなく魚介類のほとんどを輸入に頼っているため、日本の寿司のようなクオリティーのマグロやサーモンなどを輸入するとなると多額の費用がかかってしまいます。そこでイギリスを含めヨーロッパでよく食べられているバターフィッシュを寿司に使用するレストランも多くなりました。

ビーガンラーメン

チェコにはビーガン志向の人が多いので、そういった人でも美味しいラーメンを食べられるようにビーガンラーメンが作られたと言われています。ビーガンは乳製品はもちろんですが、肉や魚・卵などを食べず植物性食品のみを食べます。なのでビーガンラーメンは地元で手に入る野菜を中心に作るため大きなコスト削減が可能になります。

米粉からできた麺は腹持ちも良いので、ベジタリアンやダイエット中の方でも安心して食べられるビーガンラーメンは今後ますます需要が増えると考えられます。

まとめ

交流100周年を迎えたチェコ。しかし日本食が浸透しているとはまだまだ言えなさそうです。

肉メインの料理が多く、ビールの消費量が世界一のチェコと、ヘルシー志向が多い日本では食文化が全く異なります。

日本食が高級食材として扱われていますが、今後日本食のコストが下がり、より多くの人が日本食を楽しめるようになっていくと日本食の知名度も上がることでしょう。

シェアする