食品輸出、 過去最高1兆2385億円達成 今後は輸入規制撤廃、ハラール認証の取得などが課題か

近年では、日本食は外国人が好きな料理No1の座を獲得しており、2013年にはユネスコの無形文化遺産に登録もされています。

それを受けて日本の食品の輸出も増えていますが、日本食はどんな国で受け入れられているのか、今後も増え続けていくのかなど、疑問に思う人もいるかもしれません。

この記事では、日本の食品の地位や食品輸出の実態、課題を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

世界からみた日本の食品の地位

外務省の調べで農林水産省にて推計された調査では、2021年における海外での日本食レストランの数は約15.9万店舗で、年々増加していることが分かっています。

最も日本食レストランが多いのはアジアの100,900店舗で、その次は北米、以下ヨーロッパ、中南米となっています。

参考)https://www.maff.go.jp/j/shokusan/eat/attach/pdf/160328_shokub-13.pdf

中でもタイは世界で最も日本食レストランの多い地域。一通りの日本食を手に入れることが可能で、本物の高級日本食の出店も今後見込まれています。

日本食が人気の理由

和食の一汁三彩のスタイルは栄養バランスが良く、日本人が世界的に長寿の理由の1つに挙げられています。海外の料理に比べてヘルシーなので、健康志向が高い外国人の人気を集めています。

また、四季の素材を使って季節感を盛り込み、見た目が繊細で大変美しいことも人気の理由。とくに和菓子は見た目の繊細さから、「芸術作品」と言われることもあるほどです。

もう一つ、人気の理由と考えられているのは安全性の高さ。日本では食品の安全性に対する関心が高く、衛生管理も徹底して行われていますが、海外ではそうでないところも多くあります。

日本食は、ヘルシーでおいしい上に見た目も楽しめ、なおかつ安全性も高い食品として海外での高い地位を確立しています。

日本の食品輸出の実態

日本では人口の減少の影響もあって国内マーケットは縮小の傾向にありますが、世界では上記で解説したように、日本食ブームが起こっています。

とくにアジアの食マーケットは日本と違って拡大の傾向にあるので、日本としてはぜひ食い込みたいところ。

現在の日本における食品輸出の実態を見てみましょう。

FBI戦略を掲げて取り組んでいる

農林水産省は「FBI戦略」を掲げ、輸出の強化に取り組むことを発表しました。

FBI戦略とは、

・世界の料理界で日本食材を活用すること・・・F=Made FROM Japan)

・日本の「食文化・食産業」の海外展開・・・B=Made BY Japan

・日本の農林水産物・食品の輸出・・・I=Made IN Japan

のこと。

この3つの取り組みで、世界進出の強化を図っています。また、FBI戦略を具体的に行うために、農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略を図り、この戦略を迅速に行うための輸出戦略実行委員会の設置も行っています。

輸出額上位の品目や国

2022年2月4日に農林水産省が公表した「農林水産物輸出入情報」によると、輸出額上位3品目は以下の通りでした。

・1位・・・アルコール飲料・輸出額1,147億円・前年比61.4%増

・2位・・・ホタテ貝・639億円・前年比2.04倍増

・3位・・・牛肉(くず肉を含む)・・・537億円・85.9%増

また、輸出先の国・地域別では、以下の国が上位を占めています。

・中国・・・2024億円

・香港・・・1977億円

・米国・・・1507億円

・台湾・・・1068億円

参考)https://www.maff.go.jp/j/press/yusyutu_kokusai/kikaku/220204.html

中国や米国はコロナの影響が一息ついて、外食をする人が増えてきたことや、日本の食品をインターネットで購入する人が増えてきたことが上位進出の理由だと考えられています。

また、コロナで日本に旅行することができなくなったため、家庭で日本の食品や食材を購入する人が増えたことも理由の1つに挙げられています。

輸出先の国は、去年までは香港が1位でしたが、今回はじめて中国が1位の座に立ちました。

香港への輸出は、現地での外食・会食での需要が減って高級食材である乾燥ナマコ(14.4%減少)や貝柱調整品(16.6%減少)などの輸出量が減ったことが原因。

中国や米国は反対に外食の需要が増し、アルコール飲料やホタテ貝、牛肉の輸出額が大きく増加したことが上位を占めた理由です。

輸出額1兆円の目標達成

2006年に第1次安倍政権は、「輸出1兆円」の目標を掲げました。

2012年には輸出額は約4500億円に増え、その後も順調に増え続けました。2022年にはついに、前年比25.6%増の1兆2,385億円となり、目標を達成しました。

政府はさらに2025年に「2兆円」、2030年には「5兆円」を達成することを新たな目標に掲げています。

食品輸出への課題は?

農林水産省は、農林水産物・食品輸出の課題と対策を次のように発表しています。

放射性物質に関わる輸入規制に対応する

2011年の東京電力福島第1原子力発電所事故の発生より、多くの国や地域より日本の農林水産物・食品の輸入停止や、放射性物質検査証明書の提示が求められました。

国内では、農林水産物・食品のモニタリング検査や食品安全に対する措置の説明、データの提供などを迅速に行うことなどを働きかけています。

食品の安全確保に向けた取り組みの情報を提供する

日本の食品の安全確保に向けて、どのような対処を行っているかの説明、流通関係者を製造施設に招いて安全確保の取り組みの説明、などの情報を提供することを提言しています。

輸入規制に対して迅速に対応する

香港や台湾、中国、韓国などでは、未だに福島県やその近辺地域の農林水産物・食品の輸入禁止が行われており、輸入拡大の大きな妨げとなっています。

政府はこれらの国に対して、国際会議や外館、在京大使館などを通じて規制緩和・撤廃を働きかけています。

動植物検疫協議に対する対応

日本の農産農畜産物の輸入が検疫上の理由で禁止されている国や厳しい条件が付けられている国に対して、輸入解禁・規制緩和を求める働きを行っています。

知的財産侵害に対する対策を行う

中国などで、日本の地名が商標登録されたり、ブランドのコピーが行われたりする事例に対して、情報を把握し現地調査や相談窓口の設置などの対策を強化しています。

ハラール認証の取得

世界人口の4分の1を占めるイスラム教徒は、イスラム教に基づいて食べることができない食材があります。

イスラム教圏の市場はこれからも拡大の傾向にあるため、イスラム教徒が食べることができる食品である「ハラール認証」を得ることは、イスラム圏での輸出拡大の大きな課題です。

そのため、政府はハラール認証の取得を目指す事業者の支援を行っています。

有機同等性の承認の取得へ

近年では、輸出先の消費者の嗜好を考えて有機栽培に取り組む生産者が増えています。

ただし、「有機」と表示して販売するためには輸出先の有機規格に合っているかの検査を受ける必要があります。

検査を受ける費用は生産者・事業者の負担になるので、農林水産省は日本と相手国との「有機認証の体制」が同等であることを認めるよう働きかけており、すでに米国・カナダ・スイスでは同等性が認められています。

この結果、米国・カナダ・スイスに輸出する場合、日本の有機認証を取得すると商品に「有機」と記載できるようになりました。

今後は、その他の国でも同様の働きかけをしていきます。

酒類の輸出拡大強化対策

国税庁では、酒類を含む農林水産物・食品の輸出を促進するために、酒税課に輸出促進室を新設。

販路の開拓、ブランド化の推進、国際プロモーション、オンライン商談会、などさまざまな取り組みを展開しています。

酒類では、清酒、ウイスキー、本格焼酎・泡盛の3品が重点品目とされ、これらの品目やターゲット国ごとの戦略を推進します。

まとめ

日本の食品は、今や海外で最も人気があります。

日本食レストランの数も多く、日本の食品輸出はこれからの時代に飛躍が見込まれる事業として注目を集めています。

政府も食品輸出には力を入れており、まだまだ課題も多くありますが、課題を1つずつクリアしていくことでますますの発展が期待できます。

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