海外メディア「餅はサイレントキラー」 甘いスイーツとして「mochi」が大注目
餅は、日本に古くからある食べ物です。餅米を原材料として、蒸してから臼と杵で粘り気が出るまで搗きます。搗いたものを丸めたり、板状にしたりして、適度な大きさに形を整えて食べます。
餅は独特な粘りと食感が特徴で、乾燥させた餅を焼くと膨らみ、外はカリカリ、中はモチモチとした食感が楽しめます。また、煮るとトロトロになり、さらに柔らかくなります。
日本では、正月や季節の行事のような祝いの日に食べられてきました。日本では馴染みが深い餅ですが、海外ではどのように食べられているのでしょうか。今回は餅についての理解を深め、海外でどのように食べられているのかを紹介します。
餅の歴史
日本で餅が普及したのは、弥生時代の頃とされています。大陸から稲作が伝来し、収穫した米を蒸す技術が普及したことによって、餅が作られるようになりました。
稲作を中心とした食文化であった日本では、古来より米から作られた餅は稲作の神様として敬われ、五穀豊穣を願う特別な食べ物として扱われていました。
平安時代になると、餅は満月の時に神様に供えて拝むことで、望みが叶うと信じられ、神事に広く使われるようになりました。また餅は、縁起の良い食べ物として、お祝い事や季節の節目にも食べられるようになりました。
海外で餅はどのように知られている?
日本では、当たり前のように食べている餅ですが、海外ではどのように知られているのでしょうか。
イギリスのBBCでは、「おしいけれど危険な日本の餅。死者が出ることも」というタイトルで、餅の危険性が取り上げられました。
お正月に縁起が良いものとして餅を食べたお年寄りが、喉に詰まらせ緊急搬送されるニュースが報道されています。海外のメディアでは、餅はキュートな食べ物として紹介されている一方で、「サイレントキラー」として取り上げられることがあるようです。
このニュースを知った外国人の反応はまちまちです。日本の食文化を知らない人にとっては、「人が亡くなっているに食べ続けているのにびっくりした」と言う反応があったそうです。
しかし、日本をよく知る外国人の中には、「餅は日本人にとって、正月に欠かせない料理。餅が危険なのではなく、子供やお年寄りのような喉に食べ物を詰まらせやすい人は、食べ方を工夫すれば良い」という意見もありました。
確かに、海外でもハンバーガーや鶏肉などを喉に詰まらし、窒息する事故が起きているようです。交通事故と同じように、自動車が危ないのではなく、運転する人によって事故が発生するため、餅も食べ方次第で安全に食べることができます。
海外で餅はどのように食べられている?
日本で、多くの人たちが食べている餅ですが、海外では、餅はどのように食べられているのでしょうか。
日本の餅は、加熱調理がされているため、真空保存をすれば長期保存が可能です。そのまま海外へ輸出することも可能ですが、海外の餅事情について紹介します。
アメリカ
アメリカで餅は「mochi」と呼ばれ、商品の表記にも「mochi」が使われています。しかし、アメリカでの「mochi」は、日本の「餅」とは異なり、氷菓子のことを指します。
アメリカの「mochi」は、日本の「雪見だいふく」のような商品です。餅米粉で作った薄い皮に、チョコレート、マンゴー、ストロベリー、塩キャラメル、ピスタチオ、コーヒーなど、様々なフレーバーのアイスクリームを包みます。また、抹茶などの日本風のものもあるようです。
アメリカで販売されている「mochi」は、日本の「雪見だいふく」より小さく、一口サイズの大きさになっています。一口で食べられることや、食感と様々な味が楽しめることが受け入れられ、スイーツとして食べられているようです。
アメリカで浸透しつつある「mochi」ですが、サンフランシスコ周辺では、新たな「mochi」ブームが起きているようです。おいしいものには国境がなく、新たな食文化の広がりを感じます。
フランス
フランスでも「mochi」が人気となっているようです。フランスでも「mochi」は、子供の手のひらサイズのアイスクリームのようなものとして販売されています。
フランスの「mochi」の特徴としては、健康志向の高い消費者が多いということで、フランス国内産の原料を使用したり、着色料などを使用しないで作られたりしているようです。また日本風のフレーバーとして、柚子レモンや抹茶といったものも販売されています。
「mochi」は大手スーパーマーケットで販売されていますが、フランスの有名スイーツ店でもオリジナルな「mochi」が販売されています。そこでは、黒ゴマ味の「mochi」が販売されていて、フランス人に人気の味となっているようです。
米粉を使ったスイーツは、「グルテンフリーで脂質が少ない」と、ヘルシーな食べ物として、グルメ誌で紹介もされるほどです。
またグルテンは、食物アレルギーの原因にもなっています。
グルテンによるアレルギー症状は、アトピーや喘息などがあり、人口の数%が罹患していると言われています。「mochi」はアレルギー体質の方も食べることが出来るスイーツなので、今後も多くの人たちに食べられることが予想されますね。
中国
中国で餅は「ピン」と呼ばれています。ピンは小麦粉をこねて平らにし、蒸したり、焼いたり、油で揚げたりします。
それらは、「饅頭(マントウ)」や「餃子(チャオズ)」という料理で知られています。餅米を使ったものもありますが、それは「餌(アル)」と呼ばれる料理になります。
「餌」は「餌塊」とも呼ばれ、中国の南西部である雲南地方で特有な食べ物です。作り方は日本の餅とほぼ同じですが、細切りにしたり、スライスにしたりして食べます。料理方法も炒めたり、揚げたりなどさまざまです。
海外で人気の餅はデザート系?
アジアの一部では、日本と似た餅を食べているようですが、欧米をはじめとする国々では、餅は甘いスイーツとして人気があるようです。
アイスクリームを餅の薄皮に包んであるため、アイスクリームの冷たい食感と甘みを餅で包むことで、もっちりとした歯ごたえが楽しめます。
日本で食べるような餅料理の認知度はまだまだ低いですが、もっちりとした食感や、スプーンやナイフを使わずに食べられることもできるので、今後日本式の餅をアレンジした料理に期待が持てるでしょう。
まとめ
日本における餅は、欧米ではデザートとして人気を集めています。中国では、餅と言えば小麦粉を練って料理したものになります。
海外の人たちにとって、餅はまったく違う食べ物であることを、日本人も知っておくと良いでしょう。食事を楽しみに来日した外国人に、「mochi」を尋ねられた場合は注意して下さい。
外国人の人たちにも、「mochi」だけでなく、日本の餅料理を食べてもらいたいものです。日本の米粉を使った和菓子は、小麦を使用していないため、グルテンフリーのスイーツと言えます。小麦の代わりに米粉を使った洋風スイーツも数多く開発されており、小麦アレルギーがある人も安心して食べられます。
今後「mochi」はさらなる進化をとげ、世界中の人達に愛されるのではないでしょうか。