海外の「kombucha」は日本の昆布茶と違うのか 健康志向の高まりで世界に普及、飲料以外での用途も

現在、海外では「kombucha」が健康的な飲み物として大流行しています。

しかし、この海外の「kombucha」と日本の昆布茶では、大きな違いがあるようです。海外では、いろいろなフレーバーが選べ、炭酸飲料として販売されていることからも、見た目も味もかなり違うことがわかります。

そこで、今回は「海外のkombuchaと日本の昆布茶の違い」「kombuchaが世界に広がった理由」「kombuchaの今後」をテーマにご紹介していきます。

そもそも昆布茶とは?

日本で昆布茶が飲まれるようになったのは、江戸時代です。当初は刻んだ昆布にお湯を注ぎ、飲み終わったあとは残った昆布を食べていたようです。

現在の昆布茶は、昆布の粉末をお湯に溶かして飲むインスタントタイプが主流となっています。この粉末状の昆布茶の販売は、1918年(大正7年)に始まりました。もともとは、激しいお茶業界での競争に勝つために生み出された昆布茶でしたが、これが見事に大ヒットしました。

日本の昆布茶がおいしい理由は、昆布と製法に秘密があります。昆布茶の原料となる昆布には、厳選された柔らかくて香りが良い昆布が使われています。そして、乾燥させた昆布に調味料を加えて粉末状にします。昆布をそのまま使っているため、昆布のうまみがしっかりお茶に残ります。

このことから日本の昆布茶は、飲み物だけでなく、調味料としても使われています。例えば、だしの代わりとして、おでんやだし巻きたまごに最適です。

日本の昆布茶は、名前通り、昆布の風味があるお茶のことを指します。

海外で人気の「kombucha」とは

海外の「kombucha」では昆布が使われていません。「kombucha」は、日本語で「紅茶キノコ」と訳されています。

「紅茶キノコ」の歴史は古く、2000年ほど前に中国北部やモンゴル周辺で醸造が始まり、その後、日本やロシアに広がったようです。日本でも1970年代に紅茶キノコブームが起こりました。2010年代になってアメリカやヨーロッパ諸国において、健康食品として再び注目を集めるようになりました。

ここでは海外の「kombucha(紅茶キノコ)」についてくわしく説明します。

材料

「kombucha」の原材料は紅茶・酵母・砂糖の3つです。酵母は発酵させるために加え、2回の発酵工程があるため、手作りすると2週間以上かかることもあります。

作り方としては、砂糖入りの紅茶に酵母を入れて1週間以上置き、「SCOBY」というバクテリアと酵母が含まれている厚い膜を作ります。これが1回目の発酵です。2回目の発酵では、この「SCOBY」を紅茶に浮かべて、さらに10日ほど置きます。

そのため「kombucha」は酵母を使って発酵させた発酵飲料なのです。

「kombucha」にはりんごやマンゴー、パイナップル、ブルーベリー、ストロベリーなどのフレーバーがあります。これは、2回目の発酵のあとに「糖」を加えて「炭酸化」を起こすためです。最後に糖を加えることで、「kombucha」は自然な甘みが残る飲み物に仕上がります。

炭酸化は、酵母が糖を分解して炭酸ガスとアルコールに分解することで起こります。発酵を自然に終わらせるためにも、糖が必要なのです。そして、色に関しても昆布茶はうすい黄緑色なのに対し、「kombucha」は紅茶ベースのため、茶色なことが多いです。

なぜ「kombucha」が世界に広まったのか

長い歴史を持つ「kombucha」がなぜ今、海外に広がり、ブームを巻き起こしているのでしょうか。その答えは、海外セレブにあります。

「kombucha」がはやりはじめたのは、2010年頃からです。ハワイやアメリカのロサンゼルスを中心に人気が広がりました。そのきっかけを作ったのが海外セレブたちで、健康でいるために「kombucha」を愛飲していることを次々に公表しました。しかし、「kombucha」の健康効果について、現在でもはっきりとしたことはわかっていません。

今日では、スーパーマーケットへ行けば「kombucha」のブースが設けてあったり、「kombucha」のワークショップが開かれたりと人気の勢いは止まりません。

「kombucha」は炭酸飲料で、フルーティな甘さに加え、炭酸による爽快な味わいが「kombucha」の特徴です。年齢に関係なく飲みやすく、ベジタリアンも飲めることから、アメリカから海外へ広がるのにそんなに時間はかからなかったようです。

kombuchaの今後

kombuchaは、これからどうなっていくのでしょうか?最後に、今後のkombuchaの売上と、飲料以外で期待されているkombuchaの用途について説明します。

今後の売上

市場調査会社Future Market Insightsの報告によれば、kombucha市場は2022年には、16億5560万米ドルに達すると予想されています。そして2032年までには、年平均成長率12.3%に達する見込みです。

kombuchaの海外への広がりは、今ではアメリカから英国、ドイツ、ロシア、カナダにまで広がっています。もちろんアジアにも広がっており、日本では、ユズ・シソ・クワなどをブレンドした独自のkombuchaが販売されています。

そして、香港では、緑茶にクコの実とショウガをブレンドしたkombuchaや烏龍茶にオレンジピールをブレンドしたものが人気を集めているようです。それぞれの国の食材を使ったkombuchaは、今後も増えていくことでしょう。

飲料以外での用途

現在、インドの研究チームが、kombuchaの発酵過程でできる「SCOBY」を工業的に利用しようと研究を進めています。「SCOBY」は、食物繊維の主成分であるセルロースを多く含んでいます。このセルロースは、食品や繊維工業の分野で原料として使用できる可能性があります。

例えば、ファッション業界では、「SCOBY」を原料とした「vegan leather」が作られています。これは生地がとても強く、洗濯機でも洗える素材です。「SCOBY」は自然な生成物であるため、環境にやさしく、環境保護を求める今の時代にピッタリな原料とも言えます。

今後もさまざまな分野で研究が進み、商品化されることが期待できます。

まとめ

日本の昆布茶は、昆布が含まれたお茶ですが、海外のkombuchaは、紅茶と酵母からできた発酵飲料であることがわかりました。そのため、見た目も味も明らかに異なっています。

そして、世界に広がったkombuchaの火付け役は、海外セレブたちでした。このセレブたちが健康目的で愛用し、健康食品として注目を集めたことがブームとなった理由です。この人気は現在も続いており、今後10年は続く見通しです。

また、kombuchaの副産物「SCOBY」の工業的利用の研究が現在進められています。これによって飲料以外でのkombuchaの用途の道が開けはじめています。環境にやさしい「SCOBY」は、今の時代に合った原料と言えるでしょう。

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