韓国・中国・タイ・台湾・インドから比較するアジアの食事マナー

「アジア」と一言で言っても、さまざまな国が含まれます。どことなく似ている習慣もありますが、異なる習慣があるのも事実です。特に食事に関するマナーやルールには、それぞれの国に特有の決まりがあるようです。

今回は、アジアの国々における食事のマナーやルール、食事中のNG行為についてまとめていきます。今回ご紹介する国は、韓国・中国・タイ・台湾・インドの5カ国です。

韓国の食事マナー

韓国の食事マナーの中には、日本では良しとされるマナーがNG行為となることがあります。

おわんを手に持たない

韓国では、食事のときにおわんを持って食べることはNG行為となります。

理由は、器が熱すぎて持てないためです。韓国で使われている食器のほとんどが、熱を伝えやすい鉄やステンレス製であるため、箸やスプーンで料理を口まで運んで食べるのが韓国でのマナーです。

食事を少し残す

韓国の食事は、品数が多いのが魅力です。その数の多さは、ゲストに対するおもてなしの表れです。

そしてゲスト側は、出された料理を少し残すのがマナーとなります。これは、全部食べてしまった場合「量が足りませんでした」という意味になるためです。お皿に料理を少し残せば、「十分に食べられて満足しています」という意志表示になります。

ただ、大量に残してしまうと失礼に当たりますので、適量に残すのがマナーです。

お通しのおかわりは自由

韓国レストランでメインメニューを注文すると、キムチやナムルなどのサイドメニューが一緒に運ばれてきます。お通しの数の豊富さには驚かされますが、このお通しのおかわりは何回でもできます。しかも、無料です。

この寛大さは、「ゲストを十分に満足させたい」という韓国式のおもてなし文化の1つのようです。

カトラリーは縦に置く

韓国も日本と同様に、食べるときに箸を使います。異なる点は、韓国では箸と一緒にスプーンを使うことです。

テーブルにセットするとき、食事の右側にスプーンと箸を縦に置きます。韓国では日本のように、カトラリーを横向きには置きません。

中国の食事マナー

5000年という長い歴史がある中国には、中国独自の食事マナーがあります。

食事を少し残す

出された料理はきれいに食べ終わらずに、少しお皿に残すのが中国での食事マナーです。失礼に当たらない食べ残しの目安量は、レンゲですくいきれない程度だと言われています。

食べ残す理由は、韓国の食事マナーと同様、「たくさん食べられて満足です。ありがとう」という感謝を伝えるためです。きれいに食べ終わってしまった場合、「まだおなかいっぱいではありません。まだ食べたいです」という意味合いになるため、注意が必要です。

麺類にはレンゲを使う

麺類を食べるときにレンゲを使うのは、中国での食事マナーです。麺を一度レンゲにのせることで、スープの跳ね返りを防ぎます。麺を食べるときには、左手にレンゲ、右手に箸を持ちます。

また、麺を食べるときにすすって食べることはNG行為です。スープを飲むときは、レンゲを右手に持ち替えて飲みます。そして、レンゲを持つときは、溝のところに人さし指を置き、柄のところを親指と中指ではさんで持つのが正しい持ち方です。

取り皿は料理ごとに変える

中国では料理の味が混ざらないように、料理ごとに取り皿を変えます。取り皿を使う枚数に制限はありません。

取り皿を使うときのルールとしては、テーブルに置いたままで持ち上げないということです。しかし、おわんを持ち上げることは、良しとされています。

会話をしながら食べる

中国では、テーブルを共にする人たちと話をしながら食べます。ワイワイガヤガヤとみんなで会話を楽しみながら、おいしい料理も楽しむのが中国での食事マナーです。

タイの食事マナー

タイには、そこまで厳しい食事マナーはないと言えます。しかし、これはしない方がいいという食事に関する行為がいくつかあります。

お皿を持ち上げない

タイでは、食器を持ち上げて食べることがNG行為となります。その理由は、タイが仏教の国であるためです。仏教の教えで、犬などの動物は、人間よりも格下のものとして扱われます。お皿を手に持って食べた場合、お皿が顔に近づき「犬食い」とみなされます。

タイでは、料理をスプーンですくって食べるのがマナーです。

フォークで刺さない

タイで食事をするときに使われるカトラリーは、主にスプーンとフォークです。右手にスプーン、左手にフォークを持つのが基本で、フォークはおかずをスプーンにのせるために使われます。

タイで食事をするときに、左手のフォークでおかずを刺してかぶりつくのはマナー違反です。

お皿を重ねない

食事中にお皿を重ねた場合、タイでは「食事が終わりました」という意味になります。もし、テーブルを共にしている誰かが食べている途中の場合、これはその人に対して失礼に当たる行為となります。

食事中、テーブルの上にお皿が置けなくなったときには、ウェイターにお皿を下げるようにお願いしましょう。

割り勘をしない

タイで割り勘をすることは、NG行為です。自分が食べた分だけを個別に支払うのではなく、グループのうちの一人がまとめて支払います。

食事に誘った人、もしくは目上の人が支払いをすることが多いようです。

台湾の食事マナー

麺類やスープの数が豊富な台湾では、食事中に注意すべきマナーがあります。

スープは飲み干す

台湾のレストランで麺類を注文したときには、スープまで飲み干すようにしましょう。スープを残すのは、失礼に当たります。

また、おわんに直接口をつけることもNG行為です。スプーンもしくはレンゲを使ってスープを口に運び、静かに食べるのが台湾でのマナーです。

料理の取り分けは逆さ箸で行う

料理を取り分けたいときに菜箸や取り分け用の箸がない場合には、逆さ箸をするのがマナーです。

逆さ箸を行う理由は、箸の上下を持ち替えることで、口に触れた部分が料理につかないようにするためです。

相手のコップを空にしない

台湾では、コップが空の状態になると注いでくれることがほとんどです。そのため、食事中に他の人のコップが空になった場合、注いであげることがマナーです。

逆に、飲み物のおかわりがいらないときには、コップを満タンにしておく必要があります。

インドの食事マナー

インドでは、素手で食事をすることが多くあります。また、国民の約80%がヒンズー教徒であるため、宗教の教えが食事マナーに影響を与えています。

食べるときは右手を使う

ヒンズー教において、右手は「神聖な手」とされています。食べ物をちぎる、皿の上でカレーと米を混ぜ合わせるなどの行為には、常に右手が使われます。インドで定番のパン「チャパティ」を器用に右手でちぎって食べる姿は、よく見かけられる光景です。

取り分けるときは左手を使う

「不浄の手」とされる左手は、料理を取り分けるときに使われます。ヒンズー教には汚れの概念があり、右手は唾液がついた汚れた手とみなされます。

食事中、右手で他のものに触れないようにするのが、インドにおける厳格なルールです。

まとめ

今回は、韓国・中国・タイ・台湾・インドの食事マナーについてご紹介しました。それぞれの国に独自の食事マナーやルールがあることが分かりましたが、似ている点もありました。

例えば、「お皿を持ち上げない」という食事マナーは、韓国とタイでは共通のものでした。また、韓国と中国では、満足であることを意思表示するために「食事を少し残す」のがマナーです。インドにおいては、宗教の教えから右手・左手のどちらを使うかが重要であることが分かりました。

旅行やビジネスでアジアの国へ訪れるときには、事前にその国の食事マナーを調べておくことをおすすめします。

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