タイでうどんが普及、日本の「うま味」に注目集まる
日本の料理が海外で人気になることは多くあります。それは麺類も同様で、日本の麺料理も海外で注目されています。
うどん、そば、ラーメンといった日本を代表する麺料理は多くの人に親しまれています。
数多くある日本の麺料理の中で昔から愛されてきているうどんが今、タイで人気を集めているのをご存じでしょうか?日本独自の麺料理といえるうどんが海外で人気になっているのは、日本人としてはとても嬉しいことです。
そこでこの記事では、うどんの基礎知識やタイでどのように人気を博しているのかについて説明していきます。
うどんとは
うどんは私たちの日常生活に欠かせない料理と言えます。
食べ応えのある食感とツルツルとしたのど越しが特徴で、多くの人に愛されている麺料理です。
ちなみに、うどんを茹でる理由は小麦粉に含まれる「でんぷん」にあります。
小麦粉のでんぷんはそのままでは消化することができません。そのため、でんぷんに水と熱を加えて糊状にし(アルファ化)、消化吸収がしやすく食べやすい麺にします。うどんを茹でずにそのまま食べると、でんぷんがで硬化しているため食感は硬く、美味しいとは言えないでしょう。
また、一言でうどんと言っても、太さや色などは地域によって違いがあり、非常にバリエーションが豊かでもあります。有名なのは「日本の三大うどん」と呼ばれるものです。
香川県の讃岐うどん、秋田県の稲庭うどんがそれぞれ三大うどんとしてあげられます。しかし、最後のひとつは特に決まってはいなく、群馬の水沢うどんや長崎の五島うどんなどが候補とされています。
日本三大うどんだけでなく、日本では多くのご当地うどんが発売され、地域によって特徴が違ううどんが多く存在しています。日本では、さまざまなうどんを楽しむことができるのです。
タイ人はうどんを食べるのか
タイ料理のイメージはどういったものを思い浮かべますか?「味が濃い」、「辛そう」などといったイメージのほかに、タイ米などのお米のイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。
タイ人は日本でも有数の麺料理であるうどんを食べるのか、気になりますよね。
タイでの日本食はブームというより、ひとつの食事ジャンルとして認識されてきています。タイ国内に日本食のお店が増えてきているのも、日本食が食事のジャンルとして確立されてきたことが要因にあげられるのではないでしょうか。
日本料理店の中でもタイで注目を集めているのがうどん屋です。タイ国内ではうどん人気が年々上昇しており、うどん屋の出店が多くなってきています。
うどんが人気になったルーツは、もともとタイはアジアでも有数の麺大国であり、麺料理に親しみやすい文化が根付いていたからです。
麺料理の種類を細かく分けると20種類以上にも及び、国内のみならず世界でも有名な麺料理がいくつも存在します。
それにもかかわらず、日本の麺料理であるうどんを食べるのは、タイの麺料理にはない特徴が日本の麺料理にはあるからなのです。
日本の味付けは受け入れられる?
日本の味付けは、だしや塩、味噌、醤油など最低限の調味料で味付けをして、素材の味を楽しむのが特徴です。その中でもだしなどから出る「うま味」などに注目が集まっています。
このうま味こそが、タイの麺料理にはなく、日本の麺料理だけの大きな特徴です。このうま味は世界でも「UMAMI」と表現されるほど、日本の食文化は世界に浸透してきているのです。
さて、この「UMAMI」はうどんのどこに使われているのでしょうか?
答えはうどんのつゆです。うどんのつゆには昆布や鰹節からとった出汁を使用して、奥深いうま味を表現しています。このうま味こそが海外でも愛されるうどんの秘密です。
人気のうどんの種類とは
日本ではうどんつゆの味が多く存在していますが、タイではどのような味のうどんが人気を集めているのでしょうか。
醤油ベース
醤油ベースのつゆは大きく分けると、関西風、関東風、讃岐風の3つの種類に分けられます。それぞれ、だしの取り方や使用している醤油の種類によって大きく変わってきます。
醤油ベースのつゆは冷たいつゆでも温かいつゆでもどちらでも食べられるのも人気のひとつではないでしょうか。
タイでもこの3種類は非常に人気があるのでそれぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
■関西風
昆布ベースのだしに、薄口醤油で作ったうどんつゆで、黄金色の澄んだ色が特徴的です。出汁の味をしっかりと感じることができる薄味になっています。
タイの人気店である「鶴うどん」は、主に関西風のつゆを使っていて、上品なだしの味が人気を集めています。
■関東風
だしにはかつおを使用することが多く、非常にだしの味が濃いのが特徴的です。使用する醤油は濃いものを使う傾向にあり、しっかりとした濃い味が多くの人に好まれています。
■讃岐風
だしには煮干しを使うことが多く、すっきりとしたコクと魚介のうま味が強いのが特徴的なつゆです。
日本でも有名なチェーン店「丸亀製麺」がタイにも進出しており、その数なんと18店舗。丸亀製麺は讃岐風のつゆを使用して人気を集めています。タイの丸亀製麺では、日本では食べられないタイだけのオリジナルメニューがあるのも面白いところです。
味噌ベース
日本特有の調味料である味噌を使用した味噌ベースのつゆです。味噌煮込みうどんや味噌チゲうどんなどの温かいうどんを中心に使用されることが多いです。
年間の気温が22°C〜35℃と1年中気温が高いタイでも煮込みうどんは人気があり、多くの世代に好まれています。出汁に加え、日本特有の調味料である味噌を使用しているのも海外では珍しい料理として人気があります。
カレーベース
だしがきいたカレーうどんは日本でも人気ですが、タイでもたいへん人気を集めています。またカレーうどんはカレーうどんでも「白いカレーうどん」という少し変わったメニューを出しているお店もあります。
日本のカレーうどんはそこまで辛さはありませんが、タイでは比較的辛めの味付けになっていてタイ国民の好みにあったスパイシーな味付けが特徴的です。
まとめ
この記事ではタイでのうどん人気を見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
食文化の違う海外で、日本のうどんがなぜ好まれているのかなどを説明してきました。
日本の料理に多く使われている出汁が、うどんのつゆにも使われています。日本料理の決め手となる調味料が出汁であり、うま味です。日本以外の国でも好まれるうどんは、もっと多くの国で、多くの人に楽しんでもらうべきでしょう。
今では、即席麺や乾麺などでも簡単にうどんを楽しめる環境になっています。また、うどんに限らず、日本特有の出汁を使用したうどんつゆも、簡単に手に取れる環境です。
うどんもつゆも日本人が自信を持って送り出せる日本料理ではないでしょうか。その日本特有のおいしさこそが、タイでのうどん人気につながっている理由です。