米国における日本産食品の需要と人気の品目

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日本食市場は米国全土に拡大しており、米国における日本食品の需要は高いと考えられます。

最近の傾向では、米国内で製造された日本食品ではなく、日本から直接輸入された日本産食品に注目が集まっているようです。

今回は「米国における日本産食品の需要」について輸出額を交えて解説したあと、「米国で人気のある日本産食品」について具体的に紹介していきます。

米国における日本産食品の需要

ここでは、2021〜2023年前半期における米国への農林水産物・食品の輸出状況と輸出額の推移について解説します。

輸出額 (2021年)

2021年は世界中で新型コロナウイルスが蔓延する中、ワクチン接種の普及にともない、行動制限や経済的な規制が徐々に緩和された年です。

人々の消費意欲が高まり、米国における外食産業の需要も回復傾向となった結果、多くの食品で輸出額の顕著な伸びが見られました。

出典:農林水産省 公式ホームページ

農林水産省輸出・国際局によれば、米国への2021年1〜12月累計の輸出額は1683億円に達し、前年度と比べて41.2%増えたことを報告しています。

この輸出額増加の背景には、2021年9月22日に米国食品医薬局(FDA)が日本産食品の輸入規制の撤廃を決めたことも影響したと考えられます。

2011年3月に起こった東京電力福島第一原発事故以来、福島産の日本食品に対する輸入禁止は長年続けられていました。しかし、その後科学的根拠が認められ、現在では福島産のコメやシイタケなどがアメリカ向けに輸出可能となっています。

参考:2021年1ー12月 農林水産物・食品の輸出額

輸出額(2022年)

2022年はコロナパンデミックによる経済の低迷から回復した年です。この年の米国への輸出額は1939億円に達し、前年度より15.2%増加しました。

その背景には外食産業の需要が2022年も高止まりしたことが挙げられます。また、アメリカ向けの水産物の輸出も増加傾向にありました。

また、YEAは2022年以降、米国内では毎日新しいレストランが増え続けていると伝えています。驚くことに、2022年1〜4月の回転寿司レストランの数は2021年の同期と比較して500%増加したとの報告もありました。

出典:農林水産省 公式ホームページ

上記のように2022年1〜12月累計の輸出額は1939億円であったことを農林水産省輸出・国際局は報告しており、これは2021年の累計輸出額1683億円を超えています。

さらに、2022年における水産物の輸出額が2021年と比較して116億円の増加となっていることから、先に述べたYEAの報告が関連している可能性も考えられます。

参考:2022年1ー12月 農林水産物・食品の輸出額

輸出額(2023年1〜6月)

2023年1〜6月におけるアメリカ向け輸出額は、2022年の同期と比較して下記のように7.9%減少が報告されています。これと比較して他国では増加傾向が強く、25.8%増の香港、19.9%増の大韓民国がその例です。

出典:農林水産省 公式ホームページ

この理由として、2022年後半から急加速した米国経済の高インフレによる消費減退が挙げられます。2023年6月における食品価格は前年度の6月と比較して5.7%の上昇が見られました。

米国農務省の予測では、2023年の食品価格は今後も緩やかに上昇傾向との見方を強めています。特に外食における価格上昇は7.5%とも言われており、米国内での外食離れが懸念されるところです。

参考:2023年1ー6月 農林水産物・食品の輸出額

米国で人気の日本産食品

米国での高インフレが継続する中、日本政府はアメリカ向け輸出を推進する目的でサポート事業を展開中です。

日系マーケットが多い米国は、農林水産物・食品の輸出先上位に入る日本にとっての主要な貿易相手国です。ここでは、現在米国で人気のある日本産食品を紹介していきます。

日本産コメ

2023年1〜3月の日本産コメの輸出額は、好調であった2022年同期の輸出額をさらに上回るペースで進んでいるようです。その背景には、米国のコメの主産地であるカリフォルニア州が天候不良に見舞われ、不作となったことが影響しています。

コメの収穫量が減ったことで、米国内におけるコメの需要と供給バランスが崩れ、カリフォルニア産のコメの価格は2倍にまで跳ね上がりました。

この状況から、もともと高価格とされていた日本産コメに注目が集まっています。最近では寿司の質感が上がるとして、カリフォルニア産を日本産コメに切り替えるレストランも出てきているようです。

今後は寿司だけではなく、ファストフード感覚で楽しめる「おにぎり」を日本産コメの輸出拡大のために販売展開すると農林水産省は伝えています。

参考:国・地域別の農林水産物・食品の輸出拡大戦略(アメリカ)

日本産ホタテ

米国は中国に続くホタテ消費国であり、最近では日本産ホタテの人気が高まっているようです。

その理由は、日本産ホタテの貝柱が大きいことにあります。アメリカで採れるホタテは比較的小ぶりであるため、日本食レストランで提供される生食用には大ぶりなホタテが適しています。

この日本食レストランでのホタテ人気に加えて、米国内でのホタテ収穫量の減少も人気を後押ししました。この収穫量減少は、2013年ごろから資源保護目的で始まったホタテ捕獲規制によるものです。

今後は、ホタテの殻むき用機器の導入により人手不足を解消し、輸出単価を上げていくことが日本政府の目標です。

参考:農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略 品質別輸出目標

日本産養殖ブリ

米国におけるブリの需要は2016年以降毎年伸び続けており、ほとんどの消費者がレストランやスーパーで調理済みのブリを購入しています。

日本産養殖ブリの消費形態は刺身や寿司などの生食が多く、カリフォルニアロールのように、すでに米国の食文化の一部となっています。脂がのった日本産養殖ブリは、特に米国の高所得者に好まれているようです。

日本から養殖ブリが輸出される際には生鮮・冷凍の2つの形態があります。冷凍ブリの輸出先は米国であり、冷凍であれば年間を通じて輸出可能となります。

日本政府はSeafood Expoのような大きな見本市に参加し、冷凍のためブリの持続的供給が可能であることを積極的にアピールしていく構えです。

参考:米国向け日本産ぶりの輸出に関するレポート

緑茶

日本からの緑茶輸出量が第1位の米国ではお茶ブームが起きており、これを支えているのが米国の健康志向層の存在です。

コロナの影響により一時的に停滞した緑茶輸出額は、現在は回復傾向にあります。抹茶に関しては、コロナの影響下でありながらも輸出額に大きな伸びが見られ、今後のさらなる成長が期待されているところです。

米国への緑茶輸出を拡大するためには、米国で半分近くの輸入量を占める中国産との差別化をはかること、そして抹茶の健康効果をアピールした商品開発が必要です。この取り組みには1社だけではなく、オールジャパン体制で行うことが望まれます。

参考:日本茶輸出促進協議会

ごま油

出典:KADOYA BRAND 公式ホームページ

東京に本社を置くかどや製油が、50年前初めてごま油を輸出したのが米国でした。

2022年の神戸税関の報告によれば、全国の港から輸出されるごま油の約70%がアメリカ向けであり、米国のごま油の需要は安定していると考えられます。

ごま油の多くはアジア系のスーパーやレストランに卸され、そのサイズは1656mlと少し大きめのものが人気のようです。また、かどや製油が販売するごま油は国際規格FSSC 22000を取得しており、食品の安全性が証明されています。

日本独自の高い焙煎技術によって作られた質の良いごま油人気は、今後も続いていくことでしょう。

参考:ごま油の輸出について

まとめ

今回は、米国における日本産食品の需要と人気の品目について詳しく解説しました。さまざまな輸入規制があった中でも、質の良い日本産食品は米国内で高い需要が継続しているようです。

今後は国を上げて積極的に日本産食品の販売促進を行い、輸出拡大を図ることで、米国へのさらなる輸出額増加が現実のものとなるかもしれません。

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