ハワイで根付いた日本文化と食 スパムむすびやコーン寿司など独自の日本食広がる

ハワイは歴史的に日本と深くかかわっており、日本人や日系人が多くいます。そのため日本の文化が根付いており、日本食レストランも多くあります。

日本から約6400キロメートル離れているハワイですが、そこで目にする現地の日本文化に驚く人も多いでしょう。

この記事では、ハワイと日本の関係を振り返りながら、ハワイで根付いた日本の文化や日本食について詳しく解説していきます。

日本とハワイの関係

ハワイには日系人や日本人が多くいます。日本人が初めてハワイに移民したのは1868年。149人の日本人が、労働者としてハワイの地を踏みました。

1868年は明治元年であったため、彼らは後に「元年者(がんねんもの)」と呼ばれました。しかし、明治になって働くところがなくなってしまった武士や職人が主だったので、サトウキビ畑での過酷な労働に耐えることができず、3分の1は帰国してしまいました。

その後1886年から1924年の間に、合計で約22万人の日本人がハワイに移住しました。1920年には、ハワイ準州の人口の約43%が日系人となり、現在でもハワイ州には多くの日本人や日系人が住んでいます。

ハワイで根付いた日本の文化

このような歴史的背景により、ハワイには次のような日本の文化が根付いています。

盆ダンス

盆ダンスは名前の通り、日本の盆踊りがルーツ。1800年代にハワイのプランテーション農場で、日本からの移民が出身地の民謡に合わせて踊ったのが始まりとされています。

アロハシャツ

ハワイの定番のお土産のイメージとして浸透しているアロハシャツですが、もともとは日系移民が生み出したものでした。

アロハシャツの起源はポルトガルから移り住んだ人たちが畑で作業着として使っていた「パラカ」と呼ばれる開襟シャツ。着心地のよい「パラカ」は日本人の間でも人気が広がります。

日本から持ってきた着物や浴衣が古くなると、パラカ風のシャツに仕立て直して子どもに着せていました。

その後1900年を過ぎた頃に、和柄の生地を使ったシャツが仕立てられ、「アロハシャツ」という名前で商品登録されました。最初は日本風の和柄でしたが、やがてトロピカルな柄が加わっていき、アロハシャツはアメリカ本土の観光客に土産物として人気となりました。

今ではハワイの冠婚葬祭で正装として着用されるまでになっています。

ひな祭り

ハワイでは、3月3日を「GIRL’S DAY」と呼びます。女の子がいる家庭では、この日にひな人形を飾ったり、着物や浴衣姿の写真を撮ったりします。

また、日系のスーパーマーケットやデパートでは、ひなあられやひな飾りが売られていたりもします。

灯籠流し

アメリカで5月27日は「メモリアルデー(戦没者追悼記念日)」で、祝日です。ハワイでは、オアフ島のバンチボウル(太平洋記念墓地)で、「灯籠流し(ランタン・フローティング・セレモニー)」が行われます。

このイベントには約5万人もの人が世界中から参加し、およそ7000個のランタン(灯籠)が海に流されて戦没者を悼みます。

ハワイで日本食は根付いているか

ハワイでは、日本文化だけでなく日本食も深く根付いています。日本食レストランは300店以上もあり、居酒屋や豆腐専門店などその種類も豊富です。

すき焼き、しゃぶしゃぶ、照り焼き、おかず、しょうゆ、弁当などは日本語そのままで通用するほど浸透しているほどです。また、寿司、ラーメン、天ぷら、カレー、お好み焼き、とんかつ、おでんといった、定番の日本食メニューも提供されています。

また、日本食とは少し意味合いが違いますが、ハワイ土産として知られているマカデミアナッツやハワイを代表する人気メニューのロコモコは、日系人が考え出したものです。

ハワイで進化した日本食は?

ハワイの日本食の中には、独自の進化を遂げたものもあります。どのようなものがあるのか見ていきましょう。

ポケ丼

「ポケ(ポキ)」とは、ハワイ語で魚の切り身のこと。もともとはハワイで古くからある料理でしたが、日系移民をはじめとするアジア系移民の影響を受け、味付けや形式が変化していきました。

代表的なものが「ポケ・ボウル(ポケ丼)」で、日本の海鮮丼にあたります。ポケ・ボウルは、白いご飯の上に魚の切り身や海藻、香味野菜を乗せ、しょうゆをベースとしたタレで味付けしています。

スパムむすび

スパムむすびは、日本のおにぎりや海苔巻きとアメリカの軍糧食であったスパムが融合したもの。5㎜程度にスライスして焼いたスパムを押し寿司の形で抜いたご飯に乗せて、のりで巻くのが一般的です。

スパムむすびは、1983年にハワイのカウアイ島に住んでいた日系人の女性が考案したと言われています。他の島から来た人たちがスパムむすびを自分が住んでいた島に持ち帰り、またたく間にハワイ諸島全体に広がったと言われており、今ではスーパーマーケットやコンビニエンスストアでも売られているほど人気のメニューです。

コーン寿司

ハワイのいなり寿司は日本のいなり寿司と違って円すい形をしています。

道路や工事現場などで目印として使われている円すい形の器具(三角コーン・コーン標識)に似ているため、「コーン寿司」と呼ばれています。

モチコチキン

モチコチキンは、ハワイ風の唐揚げのこと。日本の唐揚げは衣に片栗粉や小麦粉を使いますが、モチコチキンはもち米を使った「もち粉」を使って衣を作ります。もち粉の効果で、外はカリッと中はジューシーな唐揚げとなっています。

刺し身のツマ

刺し身のツマは刺し身に添える野菜のことで、「あしらい」とも言います。厳密には「ツマ」「ケン」「薬味」の3つに分けられ、日本では、海藻、飾り野菜、千切り大根、青じそ、などが使われています。

それに対して、ハワイの刺し身のツマには、理由は不明ですがキャベツの千切りが使われています。

チキンヘッガ

チキンヘッガは、ハワイ風すき焼きのことです。「チキン」とあるように、ハワイのすき焼きは牛肉ではなく鳥肉を使います。

クレソン、マッシュルーム、ねぎ、春雨、トマトなどが用いられ、割り下はしょうがと鶏ガラが効いているのが特徴。日本のすき焼きと違って、締めはフォーで食べるちょっとスパイシーな鍋です。

もち

大福も「もち」という名称でハワイに根付いており、スーパーマーケットでは必ず売られているほど人気です。

日本の大福にもイチゴが入ったものがありますが、ハワイの大福はイチゴ以外にも、スイートポテト、ブルーベリーなど、日本では見かけない食材が入っていたり、ピーナツバター味やミルクチョコレート味のものがあったりします。

また、「かきもち」と呼ばれるものもあり、こちらはせんべいやあられなどを指します。かきもちには、甘いものからスパイシーなものまでいろいろな味があります。

シェイブアイス

シェイブアイスは、日本で言うところの「かき氷」です。ハワイに移民した日本人が暑さを乗り切るために日本から氷削り機を取り寄せて氷を削り、フルーツジュースや砂糖などをかけて食べたのが始まりと言われています。

「シェイブ」は「剃る」という意味。ハワイのシェイブアイスはキメ細かに削られており、ふわふわで口に入れるとあっというまに溶けてしまいます。1年中食べられている人気のスイーツで、オバマ元大統領もハワイに来ると家族で必ずシェイブアイスを食べるそうです。

まとめ

ハワイは日本からの移民が多いため、日本の文化が多く根付いています。同じように日本食も深く根付いており、その中にはハワイの風土に合った進化を遂げたものもあります。

現在でもハワイは日系人や日本人が多く、日本人の観光客も多く訪れているので、ハワイの日本食はこれからも受け継がれ、広まっていくことが期待できます。

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