【ニュージーランド】寿司をはじめとする日本食が大人気 NZ初の酒蔵「全黒」が誕生し日本文化の理解深まる

南半球にあるニュージーランドは、日本のように四季があり魚介類を食べるなど、日本と共通するところが多い島国です。

そんなニュージーランドでは、今、寿司をはじめとする日本食の人気が急激に高まっている、と言われています。そこでこの記事では、ニュージーランドでの日本食の普及度について、さまざまな角度から見ていきます。

ニュージーランドでの日本食の知名度

ニュージーランドでは、日本食は「ヘルシーミール(身体に優しい食事)の代名詞」として、高い知名度があります。日本食レストランや寿司のテイクアウト、焼き鳥、揚げ物を扱う居酒屋なども多く、中にはまるで日本にいるように感じられる店舗も存在します。

その人気はニュージーランドの人気料理トップ5に挙げられるほどで、特にニュージーランド最大の都市であるオークランドでは、人気No1を誇っています。

フードコートやスーパーマーケットでも多く見られるため、日本からの旅行者や留学生が日本食を食べたくなっても困ることはない、と言われているほどです。

参考:ジェトロ「農林水産物・食品 国別マーケティング基礎情報

NZで人気No1の寿司、日本の寿司との違いは

ニュージーランドでも知名度の高い日本食ですが、その中で1番知られているのは「寿司」です。しかし、ニュージーランドでは寿司と言えば「巻き寿司」のことを指すなど、日本の寿司との違いがあります。

その他にも、日本の寿司とニュージーランドの寿司には次のような違いがあります。

定番はサーモンや照り焼き

日本の寿司は生の魚が多く使われます。それに対してニュージーランドの寿司の定番は、サーモンやマヨネーズがかかった照り焼き、マグロ(ツナ缶)、アボカド、チキンなど。その他には、揚げたチキンやとんかつなどもあります。

また、日本では、サーモンはノルウェー産の「アトランティックサーモン」かニジマスを品種改良して海面で養殖した「トラウトサーモン」が主に使われていますが、ニュージーランドでは「キングサーモン」が使われています。

キングサーモンは、サーモンの王様と言われており、味に深みがあり脂が乗っていて、まるで中トロのようです。価格は日本のサーモンよりも安いので、サーモン寿司は日本よりもはるかにおいしいと言われています。

セルフバイキングスタイルが多い

日本では、寿司は注文すると店員が運んできたり回るレーンに乗って運ばれてきたりしますが、ニュージーランドでは自分で好きなものを好きなだけ選ぶセルフバイキング方式が多く採られています。

また、店で食べるよりもテイクアウトが多いのも特徴の1つ。リーズナブルな価格で販売されているため、誰でも楽しめる手軽なスナックフードとして人気を集めています。

本格的な江戸前寿司専門店はまだ存在していませんが、日本以上に寿司は日常食として楽しまれていることがわかります。

日本食はどのように浸透しているか

日本食は上記で述べたように健康によく、加えて手軽に買えて価格も安いため、ニュージーランドではこの10年ほどで急激に人気が高まりました。

次からは、ニュージーランドで日本食がどのような形で普及しつつあるのか見ていきましょう。

出張・デリバリーサービスも充実

オークランドでは、パーティやイベント時にシェフが会場で寿司や刺身などをつくってくれる出張サービスや、配達してくれるデリバリーサービスが存在します。

海外ではマイナーなおせち料理を作ってもらえるなど、日本食が日常食だけでなく、イベント食としても普及しつつあることがうかがえます。

クイーンズタウンで酒蔵が誕生

ニュージーランドのクイーンズタウンでは、2015年にニュージーランド初の日本酒の酒蔵「全黒」が誕生しています。「全黒」は醸造開始から2年で、国際的な日本酒コンテスト「ロンドン酒チャレンジ」の金賞を受賞しました。

出典:全黒公式ホームページ
https://zenkuro.co.nz/

オーナーは日本酒の味や奥深さに魅入られたニュージーランド人で、「ニュージーランドと日本の架け橋になる仕事がしたい」と日本酒の製造を始め、日本酒の普及に力をそそいでいます。

現地食材との融合

ニュージーランドでは前住民であるマオリ族の文化が今も受け継がれており、伝統食も知られています。マオリ族の伝統食は地面に穴を掘り、底に焼いた石を敷いてその上に豚肉や鳥肉、羊肉やじゃがいも、にんじん、キャベツなどを入れたかごを入れ、穴を埋めて3~4時間かけて蒸し焼きにした料理です。

出典:ジェトロ「海外における日本産食材サポーター店認定制度

オークランドにある日本食レストランでは、2人の日本人シェフがマオリ族によって受け継がれてきた食材と日本の食材の融合を試み、先住民族と日本食のコラボレーションをニュージーランドに普及しようと取り組んでいます。

ラーメン店が多数

ニュージーランドで寿司はどこでも食べることができるほど、日常食として普及していますが、ラーメンもまた人気を集めています。

2019年には「味千ラーメン」や「一風堂」といった日本のチェーン店がニュージーランドに進出し、現地の人にも楽しまれています。

また個人経営店の出店もさかんになってきており、味もとんこつ、しょうゆなど日本の味をかなり忠実に再現しているものから、ニュージーランドの食材を使ったラーメンまで、さまざまなものが提供されています。

スーパーでも日本食品が並ぶ

ニュージーランドでは、外食だけでなくスーパーマーケットでも日本の食品が販売されています。

現地のスーパーマーケットでは、店舗の一部でしょうゆやマヨネーズなどの調味料や、のり、ショウガなどの寿司の材料、チョコレートやアメなどの菓子類が主に取り扱われています。アジアンマーケットでは中国系と韓国系の食材が多く扱われていますが、日本の食材も取り扱われています。

日本食専門店では、味噌やしょうゆ、日本の飲み物、菓子、冷蔵・冷凍食品、インスタントラーメン、米、などが取り揃えられており、品ぞろえが豊富です。

日本食専門店はオークランドの他にもニュージーランドで6店舗展開しており、車があればどの店舗へも行くことができます。ただし、どの店舗でも商品を輸入しているため、価格は高めで、日本の3倍ほどの価格です。

また、近年ではオークランドやウエリントン市街に100円均一ショップの「DAISO(ダイソー)」が海外進出を果たしています。価格は3.5ドル均一なので、100円ではなく日本円に換算すると260~280円ほどしますが、日本と同じように菓子や駄菓子、ちょっとした食品や日用品などが販売されています。

まとめ

ニュージーランドでは、日本と違って照り焼きやアボガドを使った巻き寿司が人気などの違いはありますが、日本食の知名度が高く、寿司やラーメンはランチの定番となっているほどです。

また本格的な日本食のデリバリーサービスが充実していたり、ニュージーランド人オーナーによる日本酒の酒蔵が誕生したりするなど、日本文化の理解が深まっていることがうかがえます。

これからも日本食を扱うシェフが増えることが予想されており、世界的なヘルシーブームの後押しも期待できるので、ニュージーランドにおける日本食の知名度はますます上がっていくと考えられます。

シェアする