インドネシアで変化する食生活 手軽に食べられる日本のパンに関心

世界第3位のお米の消費国であるインドネシアの食文化に、大きな変化が生まれています。

インドネシア国内におけるいくつかの理由から、パンの消費が高まりパン食がより身近になっています。

その要因に、世界に普及している日本のパンの影響があります。

そこで今回は、インドネシアの本来の食文化に触れながら、日本のパンがどうしてインドネシアで受け入れられるようになったのか、その経緯と理由をお伝えします。

インドネシアの食文化

インドネシアは、ギリシャ語で「東インドの島々」という意味を持ちます。インドネシアには主要な5島を含め約17,000以上もの島があり、この内約9,000の島々に2億2000万人以上の人々が暮らしています。

共通言語はインドネシア語ですが、地方それぞれに独自の言語があります。多くのインドネシア人はそれぞれの現地の言葉を話し、学校に行くようになるとインドネシア語を習います。

宗教は、人口の約9割がイスラム教徒です。その他には、キリスト教徒、ヒンズー教徒、仏教徒などがいます。

そして、食べ物は高温多湿な気候から、おおむね味が濃く香辛料を使っているものが目立ちます。もちろん、地方や島ならではの食文化もあります。

多様な食文化があるものの、インドネシア全体でお米が主食であることは共通しています。日本人は年間に約60kgのお米を食べると言われますが、インドネシア人は倍以上の120kgから140kg食べています。

そんな米食の文化である大国、インドネシアの食生活に近年新しい動きが見られます。

さまざまな事情から変化する食生活

インドネシアは、中国、インド、アメリカ合衆国に次いで、4番目に人口の多い国です。2030年には、現在の2億6000万人から約3億人にまで達すると予想されています。

ところが、相反するようにお米の収穫量と耕作面積は、年々減少傾向にあります。

インドネシア政府は、お米以外に主食になり得るキャッサバやトウモロコシ、バナナなどを候補に挙げ、消費量を増やす計画と取り組みをはじめています。キャッサバなどの消費量は停滞しているものの、作物自体の生産量は上がっているのが現状です。

お米の代替案である作物の消費量が伸び悩む中、生活様式の多様化から、小麦やパンが主食やおやつとして食べられるようになり、消費量も増えています。今後、小麦製品が食料供給を安定させ、減少しているお米の収穫高を補う役割を果たすかもしれません。

また、欧米のライフスタイルが大家族で暮らす伝統的なインドネシア人の生活に変化をもたらしています。同じ敷地で親戚一同が集まって暮らすのではなく、特に若い世代が個々の家に住み、核家族化がはじまっています。

核家族での生活を維持するために、自然に共働きをするようになると食事を作る時間が取りにくくなります。朝から会社に行くためには市場での買い物よりも小売店や、いつでも開いているコンビニエンスストアの方が便利になります。

インドネシアにおける米の収穫量の減少や、近年の核家族化によるニーズが、おやつや食事としての日本のパンの需要を高めています。

それでは、日本のパンが人気になっている理由を詳しくお伝えします。

インドネシアで日本のパンが人気の理由

3食お米を食べる暮らしを長年にわたり続けてきたインドネシア人ですが、最近になり小麦の消費量も増え、パン食の人気が高まっています。特に、「日本のパン」が熱い注目を集め、「パンイコール日本のパン」と言われる程受け入れられています。

日本のパンが人気を集めている大きな原因として、次の3点が挙げられます。

・核家族化が進み、共働きが増えたこと
・コンビニエンスストアの増加
・パンがおやつ感覚で食べられること

インドネシア内におけるコンビニエンスストアの店舗数は、5年で2倍以上に増加しています。若い世代が新しい生活様式を選び、食事は家で作るものから気軽に買うものへと変化しています。

そんな社会の変化とインドネシア人の食べ物の好みが向かった先が、まさに日本のパンでした。

インドネシア人は全体的に、甘い食べ物が好きです。コーヒーもよく飲みますが、砂糖やミルクをたっぷり入れて飲む習慣があります。

ココナッツやキャッサバ、もち米などを使った伝統的なお菓子も人気ですが、手作りする家庭が減ったことに加えて、最近は見た目がよく、ミルクや卵を使った洋風なおやつが多く売られるようになっています。

核家族化と共働きが進み、自宅でご飯やおやつを作る機会が減少。その流れとともにコンビニエンスストアが急増していきます。これらのことが後押しして、手軽に買えるパンをおやつや食事代わりに購入する人が増えています。

そして、柔らかさと甘さで世界を席巻している日本のパンが、もともと甘い食べ物を好むインドネシアでも当然のように人気を得ています。

ヨーロッパで多く見られる生地のしっかりした固めのパンとは異なり、ふわふわとして食べやすく種類も豊富な日本のパンが、インドネシアのコンビニエンスストアで売られています。また、日本で人気のパン屋がインドネシアに支店をオープンして、「パンイコール日本のパン」という地位を獲得しました。

どのような種類のパンが人気?

先ほど述べたように、インドネシア人は甘い食べ物が好きなので、砂糖をたっぷり使った甘いパンが人気を集めています。

そのため、日本のパンを販売しているお店では、メロンパンやチョコレートをコーティングしたパン、柔らかくふわふわな食パン等が特に売れているそうです。

もともとインドネシアの屋台では、厚めに切ったパンにジャムやマーガリン、チョコレートなどを挟んでこんがりと焼いて食べるパンがよく食べられています。

その場で注文して焼くスタイルですので、好みの具材を選ぶことができ、焼き立てを食べられます。

屋台によってはバナナや色とりどりのチョコレートも並び、1斤丸ごと使っているような大きいものもあります。

鉄板で豪快に焼かれフルーツを挟むパンは日本人にはあまりなじみがありませんが、腹持ちがよく、甘いものが好きなインドネシア人の好みにとてもよく合います。

日本の甘いパンもインドネシアのメジャーなパンの延長線上として楽しまれているのかもしれませんね。

まとめ

日本のパンは、その甘さと柔らかさ、そして種類の多さで世界中に広まっています。もともとは外国から伝わったパンという文化が時間の流れとともに日本オリジナルの食べ物になり、世界に受け入れられるパンにまで進化を遂げました。

そんな日本で進化したパンがインドネシア人の好みにも合い、共働きをする家族が気軽に購入できる食事としても選ばれています。さまざまな種類のある日本のパンは、多種多様な文化を融合しているインドネシアにこれからも受け入れられていくのではないでしょうか。

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