海外で大ブーム!抹茶の人気の理由や世界での楽しまれ方とは?

近年、抹茶はアメリカやヨーロッパ、アジアなどの海外で「matcha」の表記で通じるようになってきています。

海外で抹茶の人気が高まっている理由には、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが人々に与えた影響も大きく関わっているようです。

今回は、世界の抹茶需要や抹茶の人気の理由、海外流の抹茶の楽しみ方などについて詳しくご紹介します。

世界の抹茶需要の近況

近年、海外において抹茶は注目を集めており、ブームと言えるほどにまで輸出市場が成長しています。ここでは、抹茶の輸出量の増加や日本企業の取り組みについて解説します。

輸出量の増加

令和6年3月の農林水産省の報告では、「粉末状の緑茶」の輸出単価は1kgあたり5,036円、「その他の緑茶」は2,305円とされ、粉末状のほうが高いことがわかります。

「粉末状の緑茶」とは抹茶や粉末茶のことを指し、「その他の緑茶」にはリーフ茶を含む煎茶や粉茶が該当します。

出典:令和6年3月 農林水産省「茶をめぐる情勢」

2023年の緑茶の輸出実績を国別に見てみると、アメリカでは「その他」の輸出量543トンと比較して、「粉末状」の輸出量が2,393トンと、大差があることが伺えます。

また、ヨーロッパ諸国やイギリスに対しても、55トン差で「その他」よりも「粉末状」の緑茶のほうが多く輸出されているようです。

元々茶業が盛んな台湾へは、「粉末状」の輸出量が176トンであったのに対し、「その他」1,540トンと桁違いの差が見て取れます。

台湾ではリーフ茶に人気が集中していることが伺えますが、アメリカやヨーロッパ諸国では抹茶の需要が高いことがわかります。

日本企業の取り組み

海外での抹茶人気にいち早く目をつけたのが、静岡県に本社を置く株式会社カクニ茶藤です。1977年に日本茶の卸問屋として創業後、生産から販売までを手掛ける独自のサプライチェーンを構築し、現在は海外輸出に力を入れています。

緑茶を輸出する際、最も重要となるのが「海外でのニーズを知ること」だと株式会社カクニ茶藤代表取締役会長の加藤氏は述べています。

現在、海外からは有機栽培の緑茶に関する問い合わせが多く、環境に配慮した食品が求められる傾向にあるようです。

株式会社カクニ茶藤では、アメリカ農務省によるオーガニック食品の認証である「USDA/NOP」を取得しました。このほかにも、イスラム法に従って生産されたことを示す「HALAL」認証も受けており、海外のニーズに合わせる努力を継続しています。

株式会社カクニ茶藤の緑茶の輸出状況はリーフ茶よりも抹茶のほうが多く、抹茶が約8割を占めているのが現状です。

海外で抹茶人気が高まっている理由

ここでは、海外で抹茶が注目を浴びている理由について解説します。人気の背景には、大きく分けて3つの理由があります。

栄養面

アメリカへ輸出する緑茶の形状は、約8割が粉末状です。この背景には、現在アメリカで起こっている日本食ブームに加えて、新型コロナウイルス感染症パンデミック後の健康志向の高まりが影響しているようです。

抹茶は栄養価が高く、海外においても「抹茶は健康に良い」と評価されています。例えば、抹茶には抗酸化作用を持つ「ポリフェノール」や腸内環境を整える「食物繊維」、リラックス効果をもたらすアミノ酸「テアニン」などが含まれています。

こうした理由から、健康や美容のことを考えて抹茶を選択する人が増えており、カフェでコーヒーの代わりに抹茶を注文するビジネスマンも増えているようです。

アレンジのしやすさ

近年の日本では、抹茶はカフェやスイーツ、お菓子などに多く利用されていますが、海外でも同様にアレンジされているようです。

海外のウェブサイトでは、日本でもおなじみとなった抹茶ラテやクッキー、ケーキなどの定番メニューだけでなく、ウイスキーで割ったハイボールに加えるなど、抹茶を使ったさまざまなレシピが紹介されています。

これは、抹茶のアレンジのしやすさが海外で受け入れられている証拠であり、抹茶フレーバーはすでに世界各国に浸透しているといってよいでしょう。

インフルエンサーによる紹介

抹茶が世界に広まった理由には、SNS上でのインフルエンサーによる拡散があったことも挙げられます。

国際的に活躍する著名なファッションモデルであるサンヌ・ヴロートは、Youtube上で抹茶ラテの作り方を紹介するほどの抹茶愛好家です。

そのことは、サンヌ・ヴロートが夫や友人と共同で立ち上げたブランドNEKOHAMAのウェブサイトで抹茶を販売していることからも伺えます。また、このサイトでは抹茶を摂ることで得られるメリットも紹介されています。

抹茶は世界でどのように楽しまれている?

現在、世界各国で楽しまれている抹茶は、カフェメニューとしてだけでなくお菓子フレーバーとしても親しまれています。ここでは、具体的に3か国の例を紹介しましょう。

アメリカ

新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、健康志向が高まるアメリカ・ニューヨークでも抹茶は注目を集めています。

ニューヨークのブロードウェイにある抹茶専門カフェ「Cha Cha Matcha」は、日本では味わえないようなオリジナル抹茶ドリンクを提供しています。

このお店で最も人気があるのが、ラベンダードリンクに抹茶フレーバーを加えたカスタムレシピです。渋さと甘さが感じられ、まるで桜もちのような味わいだそうです。

このほかに、スーパーフードであるブルースピルリナと抹茶を組み合わせたドリンクも販売されています。ブルースピルリナは青い色素を持つ藻類であり、ブルースピルリナの水色の上に抹茶の緑が重なった不思議な色合いが目を惹きます。

イギリス

イギリス国内に7店舗を構えるTSUJIRIは、日本でも人気の京都祇園の「辻利」が運営する抹茶専門カフェです。

ここでは抹茶ラテや抹茶シェイクなどの飲み物だけに限らず、抹茶ソフトクリームや抹茶パフェなどのスイーツも提供しています。イギリスにいながら日本の味が楽しめる、とても評判の良いお店です。

イギリスの首都ロンドンだけでなく、マンチェスターやリバプールなどにも店舗を構えていることから、抹茶はイギリス人に受け入れられているといえるでしょう。

またヨーロッパではイギリスだけでなく、各国で抹茶メニューを提供するカフェが続々オープンしています。

タイ

抹茶ブームが起こっているタイでは、飲み物や食べ物だけでなく、茶道具の茶せんが人気を集めているようです。

茶せんの形が美しく魅力的であることや、購入した茶せんで自ら抹茶をたてて楽しむためなど、購入の理由はさまざまです。毎日自宅で抹茶をたて、抹茶ラテを作って楽しんでいる人もいるようです。

また今後は、海外で注目されているZEN(禅)の考えと抹茶文化が組み合わさる可能性も示唆されています。

心を落ち着けて静かに抹茶をたてる時間が、同じく心を落ち着け自分を見つめ直す禅と通ずることを考えると、現在の抹茶人気がさらに高まる可能性も期待できます。

日本とは異なる?抹茶味のイメージ

日本人がイメージする抹茶の味といえば、まず苦味が出てくることでしょう。しかし、海外では抹茶に対して必ずしも苦いイメージを持っているわけではないようです。その理由は、お菓子や抹茶ラテのように、抹茶に砂糖を加えた状態で提供されることが多いためです。

京都で茶道体験をした外国人観光客からは、苦すぎる本来の抹茶の味に驚きを隠せなかった、とのコメントも寄せられています。本来の抹茶の苦い味は、海外ではあまり知られていないのかもしれません。

まとめ

今回は、抹茶が海外でブームを巻き起こしている理由や、各国での抹茶の楽しまれ方についてご紹介しました。

現在は特にアメリカやヨーロッパ諸国での抹茶需要が高まっており、輸出が多いことがわかりました。

抹茶は栄養価が高く、アレンジしやすいことが人気の理由です。また、SNS上でのインフルエンサーの影響もあるようです。

アメリカやイギリス、ヨーロッパ諸国では抹茶カフェが次々オープンしており、抹茶は広く受け入れられていると考えてよいでしょう。

一方、食品としての人気だけではなく、文化にも興味を持って茶道具を購入する人も増えてきています。今後、世界で注目度が高いZEN(禅)とともに抹茶の人気も続いていくことが期待されています。

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