本場イタリアのパスタと日本のパスタに違いはあるか パスタの歴史や日本人が知らない事実を紹介

パスタは日本で最も知られているイタリア料理の1つですが、日本で食べられているパスタは、本場イタリアのものとは異なる場合があります。

本場イタリアではタブーな組み合わせがあったり、パスタを食べる際にスプーンは使わないなど、日本人が知らないことも多いでしょう。

そこでこの記事では、イタリアのパスタとはどのようなものなのか、その歴史に触れながら日本のパスタとの違いなどを詳しく解説していきます。

イタリアのパスタは「ショートパスタ」を指す

パスタはイタリア語で麺料理という意味で、小麦粉を使った生地全般を指します。スパゲティやペンネもパスタですが、イタリアではケーキやパンの生地もパスタと呼ばれています。

そのため、パスタ=スパゲティはではなく、スパゲティはパスタの1種とされています。

また、日本人がパスタと聞くと麺が細長い「ロングパスタ」を思い浮かべますが、イタリアでパスタと言えばマカロニなどの小さな形をした「ショートパスタ」を指します。

パスタはイタリア人にとって主食で、毎日のように食べられており、昼にも夜にも食べられることもあります。地方独特のパスタを含めると実に650種類のパスタがあり、家庭ごとのオリジナルルールも存在します。

また、日本人が炊飯器を買う時に性能にこだわるように、鍋やお湯の沸騰の具合、塩の分量などにこだわって作られています。市販されているのは乾燥パスタが多いですが、家庭ではパスタを打って作ることもあります。

イタリアのパスタの歴史

パスタの歴史は古く、起源前4世紀の古代ローマで食べられていた「プルス」という料理が起源ではないか、といわれています。プルスは小麦やきびなどを粗くひいて煮こんだおかゆのようなものでした。

また、そのおかゆを板状に焼いたものもあり、それらはピザやラザーニャの起源となったと考えられています。

16世紀半ば頃、ナポリで人口の増加による厳しい飢饉(ききん)が発生しました。その時にパスタを長期間保存できるように乾燥させたものが作られ、普及のきっかけとなりました。

17世紀に入ると、イタリアではナポリ地方を中心にトマトが栽培されるようになりました。17世紀末には料理人がパスタをトマトソースで食べる方法を生み出したのがきっかけで、パスタはさらに普及したのです。

パスタは18世紀の初め頃まで、手で持って頭の上にかざし、下から食べるのが一般的でした。しかし、当時の国王が宮廷で毎日スパゲティを食べるよう家来に命じたため、品よく食べることができるように現在のような先が4本あるフォークが考え出されたといわれています。

日本のパスタとの違い

イタリアのパスタと日本のパスタには、いくつかの違いがあります。どのような違いがあるのかを見ていきましょう。

タブーの組み合わせがある

イタリアの中でもとくに南イタリアは、味に関して保守的です。南イタリアでは、魚は他の食材と混ぜると味がわからなくなるとされており、「肉と魚」や「魚とチーズ」などの組み合わせはタブーになっています。

そのため、日本ではよくある「ベーコンや生ハムと小エビのパスタ」や「サーモンとクリームチーズ」などのパスタはありません。

味付けごとにパスタの種類を使い分けている

日本のパスタは、ソースや具の違いに注目されます。そのため、ソースはたくさんの種類が販売されていますが、ソースをかけるパスタの種類にはあまりこだわりません。

本場イタリアのパスタは麺の種類が豊富で、それぞれの麺に合った味付けやソースにこだわります。

パスタはメインディッシュではない

イタリア料理のコースでパスタはメインディッシュではなく、「第1のお皿」と呼ばれ、前菜の次に出てきます。これ1皿でおなかをいっぱいにするものではなく、その後に肉や魚などのメインディッシュを食べます。

ただし日常の食事では、パスタだけを食べることもあります。

パスタにパンが付いている

イタリアでは、パスタにはパンが必ず付いています。

パンにパスタのソースを付けて食べる方法は、家庭ではOKですが、正式な席ではマナー違反と捉えられることもあるようです。

麺にソースを必ずからめて提供する

イタリアでは、パスタは麺が乾燥しないようにソースをからめた状態で提供されます。日本でよく見かけるミートソースが麺の上に載っている状態で提供されることはありません。

カルボナーラに生クリームは使わない

カルボナーラは、日本でとても知られているパスタの1つ。生クリームを使った濃厚なソースが人気ですが、本場イタリアのカルボナーラは生クリームを使いません。

イタリアのカルボナーラは卵、チーズ、塩漬けの豚肉、黒こしょうで味付けされています。生クリームを使うのは卵が固まらないようにするためですが、イタリアでは少々固まっても気にしないそうです。

日本のパスタはアレンジされているものが多い

イタリアではペペロンチーノに唐辛子は使われず、シンプルにトマトとオリーブオイル、塩で味付けされています。それに対し、日本のペペロンチーノは唐辛子とニンニクが使われます。このように、日本のパスタは本場イタリアとは違ったアレンジが加えられているものが多いです。

ちなみに、イタリア人が日本のパスタを食べると、全般的に「和風にアレンジされているがおいしい」と感じるそうです。

日本人があまり知らないパスタ事情

日本人がパスタについて当たり前と思っていることの中には、当たり前ではないことも多くあります。

以下の例を見ていきましょう。

ナポリタンはアメリカ発祥

日本では、パスタといえばナポリタンやミートソースを1番に思い浮かべる人も多いと思われます。

しかし、ナポリタンはアメリカが発祥で、戦後に進駐軍を通して日本に伝わったといわれています。その後、日本人のシェフが現在のトマトや玉ねぎ、ニンニク、ハムなどを使った「スパゲティナポリタン」を考案しています。

スプーンを使わない

日本でパスタを食べる際、右手にフォークを持って左手のスプーンでくるくると形を整えて食べるのが正しい食べ方、と思っている人が多いと思われます。

しかし、イタリアでは、パスタを食べる時にスプーンを使うのは小さな子どもだけ。パスタはフォークのみで麺を巻き付けて食べるのが大人の食べ方です。

麺の茹で方にこだわりはない

日本におけるパスタのゆで方は、芯が残るアルデンテが基本、といわれています。イタリア料理の店でも、パスタはアルデンテに仕上げるように教えられることもあるそうです。

しかしイタリアでは、実際にそれほどアルデンテにはこだわりがありません。麺のゆで加減は地域や個人によって違いや好みがあり、硬めからやわらかめまでさまざまです。

まとめ

日本のパスタとイタリアのパスタでは、違いがいくつもあることが分かりました。

パスタの概念や常識が違うことも多いので、この記事を参考にして本場イタリアのパスタとはどういうものかを学ぶと、パスタへの見方が変わってくるのではないでしょうか。

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