日本人でもあまり知らない醤油の分類方法や魅力とは 異文化のフィリピンにも存在 今後世界で展開していく可能性も

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海外でも定評の高い日本料理は、伝統調味料である「醤油」の存在があったからこそ、世界中でこれほどまでに愛される料理になったと言っても過言ではないでしょう。

日本料理の飛躍的な浸透とともに醤油も世界中に広がり、新しい需要はすでに見込めないと思われるかもしれません。

本日の記事では、日本人でもあまり知らない醤油の分類方法や魅力、そして日本と同じ米文化であるフィリピンで製造される醤油「トヨ」との違いを紹介していきます。

そして今、日本では「Soy Sauce」の先にある未来を見据えて、新たなうねりが始まっています。日本の醤油が、世界中にますます広まっていく大きな可能性をお伝えします。

そもそも醤油とは何か

日本とフィリピンの醤油を比較する前に、日本でも意外に知られていない醤油の定義と一緒に、醤油の種類について見ていきましょう。

醤油は知れば知るほど、もっと知りたくなる魅力と美味しさがあります。

農林水産省で決められている醤油の定義

農林水産省による「しょうゆの日本農林規格」によると、下記の2点が醤油の主要な定義に当たることがわかります。

・大豆を使用していること
・こうじ菌で発酵させていること

大豆の他に、お米や麦などの穀物が使用されている場合でも、醤油の定義に入りますが、魚から作られる魚醤は大豆を使用していませんので、醤油の規格から外れます。

醤油を上手に使い分けるための分類方法

醤油を分ける方法は、下記のように3種類あります。

・製法
・等級
・種類

製法による分類では本醸造、混合醸造、混合に分けられ、醸造の方法がわかります。等級は、旨味の含有量や色などから、特急、上級、標準の3種類から決められます。次に、種類による分け方を詳しく見ていきましょう。

種類による醤油の分け方

さまざまな醤油の違いを知ると、今までの醤油の概念では予想もしなかったような新しいおいしさに出会えます。

・濃口醤油
・薄口醤油
・たまり醤油
・白醤油
・再仕込み醤油

濃口醤油と甘口醤油を分けて6種類に分類する方法もありますが、ここでは、日本農林規格(JAS規格)によって決められているものを紹介します。

濃口醤油

日本国内で生産量の8割を占める醤油が濃口醤油です。海外で販売されている醤油もほとんどが濃口醤油と言えます。原材料の大豆と小麦の割合は、1:1で配合され、約3カ月〜2年ほど寝かせて熟成させます。

薄口醤油

関西地方で人気の高い醤油です。原材料は濃口醤油と同じ分量ですが、使われる塩の量が多くなり、熟成期間は8カ月ほどです。

たまり醤油

主に東海地方で販売され、大豆が主原料になり小麦はごくわずかの量で作られます。とろみが特徴の醤油です。

白醤油

たまり醤油とは逆で、小麦が主成分になり、使用する大豆は少量です。熟成期間は短かく、名称の通り醤油独特の色はありません。そのため、茶碗蒸しなどの味つけにも使えます。

再仕込み醤油

熟成した醤油を塩水の代わりに使います。再仕込み醤油として完成するまでに時間がかかることから、作られる量はごく僅かの貴重な醤油です。

醤油の歴史

現在の醤油に近い調味料が日本で使われるようになったのは、室町時代(1336〜1573年)と言われています。室町時代後半には関西で醤油が特産品になり、江戸時代に入ると大阪周辺で身近な調味料として広く普及していきます。

1700年代には、関西の醤油とは異なる濃口醤油が関東で作られ始め、1800年代には関東の醤油が関西のしょうゆの生産量を大きく上回るようになります。

明治時代(1868〜1912年)になると、日本各地で盛んに作られるようになり、醤油の産地である小豆島だけでも400件の醤油蔵がありました。最盛期には、日本全国で1万軒を超えたと言われています。

フィリピンの醤油の特徴

醤油と聞くと、日本独自の調味料であるイメージがありますが、フィリピンでも醤油はよく使われています。フィリピンの醤油は「トヨ」と魚醤の「パティス」があり、日本の味に近いのが「トヨ」になります。

日本と同じように大豆が主な原材料ですが、小麦は使われていません。

トヨを販売している食品会社は、1991年の開業当初から醤油を売りだし、今では唐辛子を入れたものや「奇跡の果実」と言われるカラマンシーを入れたトヨも新しく販売しています。

フィリピンの醤油と日本の醤油を比較すると、小麦が使われていない分、色が濃く塩味の強い醤油です。日本の醤油の中では、小麦を少ししか使わないたまり醤油に近いと言われています。

日本の醤油はフィリピンで受け入れられる?

昨今の日本食ブームに加えて、フィリピンでも醤油を多用することから、日本の醤油はフィリピンで受け入れられつつあります。

醤油には、濃口醤油やトヨ以外にも様々な種類があり、ワインのように選ぶ楽しさがあるため、多くのフィリピン人は興味が湧き試してみたいと思うのではないでしょうか。

フィリピンはお祝いなどで日常的に大勢で集まる機会が多く、またそれぞれの個性の違いを尊重する文化があります。

自宅に友人を招いた時に、いつもと違う醤油でもてなす、トヨと一緒に数種類の日本の醤油を取りそろえて、パーティーに集まった人たちに選んでもらうなど、味の種類が豊富な日本の醤油は、個性や違いを尊重するフィリピンでも人気になるでしょう。

日本国内と海外での醤油の可能性

醤油は万能調味料であると同時に、醤油蔵によって味わいが変わる個性豊かな調味料です。日本国内でも、さまざまな味の醤油を楽しむ試みが始まり、全国の醤油メーカーの参画が始まっています。

「ワインのように楽しめる」そんな新しい発想が生まれ、広がりを見せています。白醤油や薄口醤油は、白ワインのように食べ物の素材を楽しめ、再仕込み醤油とたまり醤油は、赤ワインのように醤油の味を加えて素材を楽しめます。

グルテンフリーでありハラールである醤油

宗教を越えて醤油の美味しさを世界中の人に知ってほしいとの思いから、日本の大手醤油メーカーが今までの醤油づくりの域を大きく越えた醤油を作り出し、可能性と販路を大きく広げました。

従来の醤油は発酵する過程でアルコールが発生するために、イスラム教徒は口にできませんでした。宗教的な理由から醤油が使えなかった人たちでも、醤油が使えるように試行錯誤を繰り返し、国際的な認証を得てハラールな醤油が完成しまた。

この醤油には、小麦は使われていません。そのため、小麦アレルギーの人やグルテンフリーの食生活をしている人でも、迷うことなく使うことができます。そして、小麦は使用していませんが、従来の濃口醤油と同じ香りや美味しさに到達しています。

この試みによって、日本食文化が根付いていない国にも醤油を広められる可能性が高くなるでしょう。

まとめ

今回は、醤油の定義やフィリピンの醤油との違い、今後世界での醤油の可能性についてご紹介してきました。

「醤油」とひと括りにはできないほどさまざまな種類があることがわかると、醤油を選び使う楽しみが広がります。豊かな個性が見直され、ワインのように選べる楽しみが伝わるのなら、世界でも新たな需要が増えていくでしょう。

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