アメリカで弁当文化が広まる 幕の内弁当や焼き肉弁当が好評 日本の弁当箱も注目

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アメリカでは近年、日本の弁当がそのまま「Bento」として人気を集めています。

小さな箱にさまざまなおかずが詰められている「Bento」は、見た目も美しくヘルシーなものとして受け入れられているのです。

そこでこの記事では、アメリカの弁当文化や日本の弁当が人気の理由、アメリカで人気の弁当などを紹介していきます。

そもそもアメリカに弁当文化はある?

アメリカにも弁当はありますが、日本の弁当とは少し違っています。

アメリカの弁当とは、どのようなものなのかを見ていきましょう。

アメリカの弁当はシンプル

アメリカの弁当は、とてもシンプル。日本で「弁当」といえば弁当箱に数種類のおかずとご飯が詰められたものを思い浮かべますが、アメリカでは食材をそのままプラスチックの密閉容器などに詰めるだけのものが一般的です。

入れる食材も、切っただけ、挟んだだけ、といったシンプルなものがほとんどで、中にはりんご丸ごと1個やバナナ、ポテトチップスだけの弁当もあります。

日本のように、彩りや食品の配置に気を配ることはなく、食品をただ容器に入れただけというものがほとんどです。

朝食の弁当もある

日本では弁当といえば昼食に食べるものですが、アメリカでは朝食として弁当を持っていくこともあります。

ブリトー(小麦粉でできているトルティーヤ生地に具を乗せたメキシコ料理)やオートミール(オーツ麦を加工して食べやすくしたもの)などが朝食用弁当として用いられています。

日本の弁当箱とランチボックスの違い

アメリカには日本でおなじみの「弁当箱」がありません。弁当箱とは、弁当を保存して持ち運ぶための容器のことで、英語ではランチボックスといわれています。

日本の弁当箱は、数種類の食品が混ざらないように仕切りがある容器のことで、アメリカの弁当は密閉容器かファスナー付きの食品保存用袋に食品を入れることがほとんどです。

ただし近年では、以前にはなかったかわいくておしゃれなランチボックスや細かい仕切りがあるランチボックスも出回るようになっています。

なぜ日本の弁当が人気になったのか

近年になって日本の弁当が人気になった背景には、次のようなものがあります。

コロナ禍対策

アメリカでは新型コロナウイルス感染症に対する措置として外出禁止令が出され、飲食店は店内飲食が禁止されました。そのため、飲食店ではデリバリーやテイクアウトでコロナ禍を生き残ろうとしました。

ミシュランの星付きレストランですらもテイクアウトを実施することでコロナ禍を生き残ろうとしており、店を閉めてテイクアウトのみで毎日弁当160個を売り上げているところや、テイクアウトと配達のみにしている店もあります。

ヘルシー

肥満大国、生活習慣病大国と呼ばれるアメリカでは、健康に関する関心も高いものがあり、ハンバーガーやドーナツなどでランチを済ませるのではなく、栄養バランスがよくヘルシーな和食の弁当をチョイスする人が増えています。

また、自宅で手作り弁当を作れば、野菜やフルーツをたっぷりと詰めて健康に良い昼食をとることもできます。

価格が安い

自宅で食品を詰めて持っていく弁当は、外食よりも安い値段で作ることができます。

また、レストランでは、一律5ドルや6ドルの低価格な弁当や、店内で食べるよりもずっと安価な価格で弁当を販売することで人気を集めているところもあります。

アメリカではどのような弁当が人気?

アメリカの弁当のこだわりは「ボリューム」。アメリカ人に満足してもらえるよう、持ち帰り容器が日本の2倍ほどもあるものを使用している店舗もあります。

アメリカでは、以下のような弁当が人気を集めています。

からあげ弁当

日本でも人気弁当の定番である「からあげ弁当」は、アメリカでも人気です。

日本のからあげ弁当とほとんど同じような内容ですが、アメリカ人の好みに合わせてボリュームがかなり上乗せされています。

幕の内弁当

日本における弁当のスタンダード「幕の内弁当」は、アメリカでも受け入れられています。

健康志向の高まりを受けて和食がブームになっているため、日本食を食べたことがある人は多く、幕の内弁当の定番おかずである煮物やきんぴらごぼう、漬物も食べることができる人がほとんどだそうです。

幕の内弁当は、アメリカで人気のテイクアウト弁当専門店「弁当屋ごえもん」でも人気メニューの1つ。約28センチ四方もの大きさの弁当箱に、照り焼きチキン、エビと野菜の天ぷら、塩麹サーモンのグリル、野菜の煮物、きんぴらごぼう、卵焼き、サラダ、しそふりかけの付いたご飯にカリフォルニアロールが入っていて、みそ汁も付いています。

焼き肉・すき焼き弁当

白いご飯に味がしみた肉がのっている焼き肉弁当やすき焼き弁当も人気です。

ご飯と味噌汁がセットになっているものや、タン弁当、ステーキ弁当、カルビ弁当などいろいろな焼き肉弁当が提供されています。

お好み焼き・たこ焼き

お好み焼きやたこ焼きも、子どものランチやおやつなどに人気のメニュー。ロサンゼルスやニューヨークでは、お好み焼きのテイクアウト&配達専門店がオープンしたり、フリーマーケットや映画祭の屋台出店なども行われたりしているほど人気です。

大阪風お好み焼きだけでなく、広島風のお好み焼き、モダン焼きを取り扱っている店舗もあります。

寿司弁当

アメリカでは健康ブームの影響もあり、ヘルシーな日本食ブームが起こりました。寿司はその中でも人気で知名度の高いメニュー。今では、一般市民にもすっかりなじみのあるメニューとなっています。

そんな寿司も、コロナ禍の影響もあり「寿司弁当」としてテイクアウトされています。他の弁当に比べるとかなり高額で、ある高級寿司店では、寿司弁当やちらし寿司を40ドル(約4,200円)で提供しています。また、アメリカで1番高いといわれている寿司のテイクアウトは、1つ約9万円もします。

弁当箱も人気

アメリカの子どもが学校へ持っていくランチボックスは、仕切りがない、もしくはあっても1つ程度なのが特徴です。

日本の弁当箱は仕切りが多いのが特徴なので、アメリカで人気が出ています。

何種類ものおかずが詰めやすいようになっており、プラスチックやステンレスなどの素材のものが多く見られます。ランチボックスを入れる収納袋や液体が漏れないタイプのもの、ドレッシングの容器が付いているものなど、さまざまなアイデア商品も続々と販売されています。

まとめ

アメリカでは、「弁当を持っていく」という文化はありましたが、日本のように弁当箱にご飯とおかずを彩りや栄養バランスを考えて詰める、というものではなく、プラスチックの密閉容器や保存用袋などに食品をそのまま入れるだけ、というものがほとんどでした。

しかし、近年では日本の弁当がヘルシーで見た目も楽しいものとして人気を集め「Bento」として、浸透しています。

外食では、日本のからあげ弁当や焼き肉弁当、寿司弁当などが人気を集め、家から持っていく弁当は、細かい仕切りがあるランチボックスに何種類ものおかずを詰めたものが人気となっています。

コロナ禍で持ち帰って食べることができる食事として重宝しますし、ハンバーガーやドーナツなどと比べて健康に良い食事でもあるため、これからも「Bento」はアメリカで受け入れられていくことが予想されます。

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