日本式餃子が世界で好調!お店でも家庭でも食べられるようになったのはなぜ?

近年、日本式餃子が海外で一般的に食べられるようになっています。
日本式といえば「焼き餃子」ですが、世界各国で受け入れられたきっかけには、2021年に日本で開催された世界的イベントが関係しているようです。
今回は、中国式餃子と日本式餃子の違いを説明したあと、日本式餃子が人気となった理由や日本の冷凍餃子の世界進出の現状について解説したいと思います。
中国式餃子と日本式餃子の違い
数千年という長い歴史を持つ中国の餃子は、日本へ伝わったあとに調理方法や食べ方がアレンジされました。ここでは中国と日本の餃子の違いについて解説します。
中国式餃子

中国の餃子は、水餃子と蒸し餃子が主流です。厚めで弾力がある餃子の皮を手作りする家庭も多くあるようです。
餃子の具材は基本的に野菜と豚肉ですが、中国国内でも北部と南部では具材と食べ方に違いが見られます。
寒冷な気候が特徴の中国北部では、ニラやキャベツなどの野菜を豚ひき肉と混ぜ、捏ねた小麦粉で作った皮で包みます。茹でれば保存が可能であるため、水餃子が重宝されていたようです。
一方の南部では、素材の味をそのまま生かせる蒸し料理が多く、餃子も蒸し餃子のスタイルです。また、薄めの味付けが特徴です。
中国の水餃子と蒸し餃子は、そのまま食べる、もしくは醤油や酢を付けるだけのシンプルな食べ方が好まれています。
日本式餃子
焼き餃子はすでに日本食の定番メニューです。餃子が本格的に国内で広まったのは戦後といわれており、満州から引き揚げ者によって作り方が伝えられたようです。
日本式餃子の具材は肉と野菜だけでなく、ニンニクや生姜を効かせてあります。皮も薄く、焼いたあとのパリパリ感がおいしいと人気です。
食べ方については、個人の好みでラー油や醤油、酢などを混ぜた特製タレをつけて食べます。
海外ではどこで日本式餃子を食べられる?
世界中に広まった日本式餃子ですが、海外では具体的にどこで食べられるのでしょうか。ここでは、国ごとに日本の餃子が食べられる場所をご紹介していきます。
スペイン
スペインには多くのラーメン店、中華レストラン、日本食レストランがありますが、ほとんどのお店で日本式餃子を食べることができます。最近では餃子専門店があるほど、スペインでは餃子の認知度も上昇しています。
こうした専門店では、豆腐餃子やチキンカレー餃子など、日本では見かけない珍しい餃子も購入可能です。
インドネシア
インドネシアで「Gyoza」といえば日本の焼き餃子のことを指し、中国の水餃子とは区別されています。以前は、典型的な日本食レストランでしか食べられなかったGyozaですが、現在ではラーメン店や居酒屋などのカジュアルなレストランの定番メニューにもなりました。
そして、スペインと同様、インドネシアにも餃子専門店があります。西ジャワ州のバンドンという都市では、「OSAKA GYOZA」という餃子専門店が若者に大人気です。このお店のGyozaは、日本の焼き餃子とほぼ変わらない味だと評判が高いです。
このほかにも、Gyozaはインドネシアの屋台で売られることもあるようです。
アメリカ
Trader Joe’s(トレーダージョーズ)は、アメリカで有名なスーパーマーケットチェーンの一つであり、冷凍食品コーナーで、日本式餃子を販売しています。
Gyozaと書かれた冷凍餃子の種類には、エビ餃子や野菜餃子などがあり、野菜餃子はヴィーガンやベジタリアン食品として需要が高いようです。
アメリカでは家庭で餃子が食べられているだけでなく、外食でももちろん食べられます。
日本式餃子の人気が上昇している理由・きっかけ
日本の餃子が海外で人気急上昇している理由としては、日本式餃子独特のおいしさが挙げられます。また、2021年開催の東京オリンピックも日本式餃子の人気に大きく関係しているようです。
おいしさ
日本の餃子の食感を音で表すと「パリッ、ジュワー」で、水餃子や蒸し餃子とはまったく異なる食感です。食べた瞬間の薄い皮のパリパリ感と、そのあとに来る中身のジューシーさは、日本の焼き餃子ならではのおいしさといえるでしょう。
実は日本式餃子のおいしさの秘密は具材にあり、ジューシーさは豚肉100%から得られるものです。
また、ニラやニンニクなどの香味野菜も餃子の味にアクセントを与えているようです。野菜餃子などの肉を使わない餃子も、大豆などの豆類を加えることでタンパク質によるジューシーさを実現しています。
選択肢の多さ
餃子の皮は小麦粉で作られているため、具材を考慮すれば宗教的に食べられないものがある人やベジタリアンにも対応が可能です。
たとえば、イスラム教では豚肉を食べることが禁忌とされていますが、鶏肉を使用した餃子であれば問題なく食べることができます。
また、ベジタリアンやヴィーガンに対しては、野菜餃子があります。
具材としては、キャベツやにんじん、コーンなど好きな野菜が選べるため、手作りすれば自分なりのアレンジができることも人気の理由です。
気軽に買える
冷凍餃子は海外の大手スーパーやアジア食品店に置いてあることが多く、最近では自宅で餃子を食べる家庭も増えています。
フランスの大手スーパーでは、鶏餃子や野菜餃子以外にも日本にはないカレー味の冷凍餃子が販売されています。身近になった餃子を自分で作りたいと思う人も増えており、フランスでは餃子を作る料理教室が開かれ、好評を得ているようです。
東京オリンピックの影響
2021年の東京オリンピックの開催時、選手村で提供された餃子がSNS上で注目を浴びました。
台湾やアメリカ、ポルトガルなど各国の選手らが、SNSでおいしそうに餃子を頬ばる動画を配信したことから、日本の餃子の認知度が一気に海外へ広まりました。
選手村で提供されていた餃子は、日本で一般販売されているのとまったく同じ、味の素食品株式会社の冷凍餃子を鉄板で焼いたものだったそうです。
日本の冷凍餃子の海外展開状況
香港・タイ・ポーランド・アメリカの4か国に冷凍餃子の生産工場を構える味の素食品会社ですが、実はそれぞれの国に合った戦略や商品開発を行っているようです。
味の素株式会社の担当者によれば、ヨーロッパがその成功例です。
まず餃子を知ってもらうために日本食レストランで焼き餃子を提供し、認知度が高まった頃に現地に合った商品を販売した、とのことです。スペインで販売されているアップル餃子が商品開発の一例です。
味の素株式会社にとって餃子はコア領域であり、好調なアメリカとヨーロッパでの売上に加えて、今後はタイを拠点としたアジア諸国への事業拡大を目指していく構えです。
まとめ
今回は、日本の焼き餃子が海外に広まった理由について解説しました。
アメリカやヨーロッパ、アジア諸国ではすでに日本式餃子が受け入れられており、ラーメン店や日本食レストランだけでなく、餃子専門店ができるほどの人気です。
外食だけでなく、日本の餃子が家庭でも食べられるようになった理由は、冷凍餃子が海外の大手スーパーやアジア食品店で当たり前に購入できるようになっているためです。
そして、この冷凍餃子の認知度が高まったきっかけが2021年の東京オリンピックでした。この時、各国の選手らのSNS発信のおかげで焼き餃子のおいしさが世界に認知されたのです。
今後も企業による各国に合わせた商品開発と共に、さらなる餃子人気の拡大が期待できそうです。