健康効果に大注目!梅干しの海外人気が上昇中

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日本人になじみ深い「梅干し」ですが、近年では海外輸出の機運が高まりつつあるようです。

その理由として、海外での健康志向人口の増加にともない、梅干しの健康効果に注目が集まっていることが挙げられます。

今回は、日本の梅干しのどのような健康効果が世界から関心を集めているのかや、海外での梅干しを使ったアレンジ料理、日本企業が行っている梅干しの輸出拡大に係る取り組みについて紹介していきます。

梅干しを食べるのは日本だけ?

梅の実は日本以外でも食べられていますが、梅干しのように酸っぱく加工して食べるのは日本だけのようです。ここでは、日本と海外における梅の実事情の違いについてご紹介します。

日本

日本の梅は中国が原産地とされ、平安時代には日本に入ってきていたとのことです。約400種類以上ある梅の種類の中で、梅干しに使われている主な種類は和歌山県産の南高梅です。

南高梅の特徴は、果肉の肉厚さや柔らかさ、大粒であることで、梅干し作りに最適な梅といわれています。塩漬けにした梅の実は究極の保存食であったため、戦国時代の武士はエネルギー源として必ず所持していたようです。

また、江戸時代には飢饉に備えるための備蓄食として重宝されていました。日本の梅干しには、保存食として各時代に寄り添ってきた歴史があると言っても過言ではないでしょう。

ヨーロッパ

南高梅は日本独自の品種ですが、ヨーロッパでは南高梅に似たものとしてプラムが挙げられます。プラムには約1,000以上の種類があり、その中でも「Greengage(グリーンゲージ)」という品種は、見た目が南高梅とよく似ています。

Greengageは完熟すると黄緑色になり、甘味が増すのが特徴です。そのためジャムにしたり、パイやタルトなどの材料にしたりするのが主なGreengageの食べ方です。

梅干しのような食べ方は、ヨーロッパの人たちには新鮮に受け取られるでしょう。

中国

梅の原産地である中国では、3,000年以上前から梅の実を漢方薬として使用しています。

「鳥梅(うばい)」と呼ばれるこの薬は、青梅をかまど内で黒くいぶして作られます。解熱や下痢止めなどの効能がある生薬として、現在でも処方されているのです。

このほかにも、中国には「紫梅(シーメイ)」と呼ばれる梅の砂糖漬けがあります。一方で、梅に古い歴史を持つ中国においても、梅を塩漬けにする食文化は根付いていないことが伺えます。

梅干しが世界から注目されつつある理由

新型コロナウイルス感染症の拡大とともに、世界中で健康志向人口が増えたことは、現在の梅干し人気に大きく影響しているようです。

梅干しには、健康効果に関わる二つの注目すべき成分があります。

一つ目は、抗酸化作用が期待される「梅リグナン」という成分です。体内で作られた活性酸素は生活習慣病の引き金になるといわれており、活性酸素の酸化を抑えることが必須です。アンチエイジングの観点からも梅干しは注目を集めています。

そして、二つ目の成分が「クエン酸」です。クエン酸には、乳酸と呼ばれる疲労物質を体内で分解する働きがあります。この梅干しの疲労回復効果が、現在のストレス社会に適していることも人気の理由なのでしょう。

世界での梅干しを使ったアレンジとは?

日本ではご飯のお供として親しまれている梅干しですが、海外ではどうなのでしょうか。ここでは、世界での梅干しの使われ方についてご紹介します。

サラダ

ヴィーガン料理を引き立てる味として海外で紹介されているのが、梅干しドレッシングです。刻んだ梅干しをオリーブオイルやメイプルシロップに混ぜ、フルーツサラダや野菜サラダにかけて食べるとおいしいと評判です。

梅干しは塩分が高いことから塩は使用せず、甘味を加えるだけで満足感が得られるドレッシングになります。刻んだ梅干しがサラダ全体に広がり、梅干しの風味が十分に味わえるようです。

パスタ

オーガニック商品が流行しているヨーロッパでは、有機栽培された梅を使った梅干しペーストが販売されています。

パスタにはトマトがよく合いますが、そのトマトパスタに梅干しペースト、もしくは刻んだ梅干しを加えるだけで刺激のある味に仕上がると評判です。併せて、バジルの代わりに赤しそを使うと味が爽やかになり、夏の暑い日の料理に最適と好評です。

ソース

少し粘り気のある梅干しペーストは、ソースとして料理のアクセントになります。蒸した魚につけて食べたり、炭火焼きの焼き鳥に塗ったりと、魚や肉などのメイン食材とも梅干しペーストはよく合うようです。

梅干しペーストだけでは物足りない場合には、醤油やゆず果汁を加えれば少しピリ辛な味が楽しめます。ほかにも、ネギやごま、刻んだ梅干しをソースと混ぜる方法も人気です。

ドリンク

日本には梅ハイボールや梅酒ソーダなどがありますが、海外でも梅風味のドリンクが受け入れられつつあるようです。たとえば、ハイボールに丸ごと潰した梅干しを加えたり、梅干しの代わりに梅干しペーストを直接入れたりして飲むこともあります。

ほかにも、少し塩味のあるブラッディ・メアリーやマルガリータのようなカクテルに梅干しペーストを混ぜて飲むことも浸透しつつあります。

また、梅干しペーストはソフトドリンクにも使えます。特に、レモンソーダやジンジャエールなどの炭酸飲料に混ぜると絶品のようです。もちろん、シンプルに炭酸水に梅干しペーストを混ぜたドリンクもおいしいと評判です。

梅干しの認知・輸出拡大に向けた取り組み

日本の梅干しはすでに世界に知られつつありますが、さらなる認知・輸出拡大に向けて日本企業はさまざまな取り組みを始めています。ここでは、現在進行中の取り組みについてご紹介します。

有機栽培

和歌山県で梅干しの製造販売を手掛ける「深見梅店」では、自社農園で梅の有機栽培を行っています。種子から育てた苗木にはほとんど手を加えず、自然に任せて栽培された梅干しは、満足のいく甘みと酸味が味わえると海外からも大好評です。

海外への輸出が3〜4割を占めるという深見梅店ですが、この背景には自然食品やオーガニックスーパーなどの海外バイヤーとの取引が増えたことがあります。

深見梅店の今後の目標は、梅干しの知名度をさらに上げるために、海外見本市での積極的なアピールを行っていくことです。

梅加工品

梅加工品として、ピューレを海外に輸出している会社が和歌山県にあります。「マルヤマ食品株式会社」は、紀州梅干しおよび梅関連製品の製造・販売を行なっている会社です。

この会社は、フランス、アメリカ、オーストラリア、メキシコ、ドバイ、インドネシア、マレーシア、台湾の世界8か国に梅干しピューレや梅干しフレーバーの製品を輸出しています。

そのままの梅干しと比較して、梅加工品のほうが各国の料理に合わせやすいため、今後の需要の高まりが期待できます。

まとめ

今回は、世界へ広まりつつある日本の梅干しについてご紹介しました。

梅干しが海外から注目を集めているのは、さまざまな健康効果が期待できるためです。このほかにも、独特の酸味によって料理をさっぱりと食べられる点や、ベジタリアンやヴィーガンでも楽しめる食品である点も人気の理由です。

海外へは、梅干しそのものだけでなく、ペーストなどの梅加工品も多く輸出されています。将来的に海外でのさらなる需要の高まりを期待できるのが、日本の梅干しだといえるのでしょう。

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