世界が味噌に夢中!健康志向と意外な使い方で広がる日本の伝統調味料

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近年、日本の伝統調味料である味噌が、世界中でその存在感を急速に強めていることをご存じでしょうか。かつては和食の定番調味料として認識されていましたが、今や海外の料理界でも多種多様な形で活用されています。

本記事では、この味噌ブームを深掘りし、なぜ日本の伝統的な発酵食品がこれほどまでにグローバルに食卓に受け入れられているのか、また多様な料理へと進化を遂げているのかを解説していきます。

味噌が海外で広まっている理由

味噌が世界中で愛され、その活用が広まっている背景には複数の要因があります。主な理由をいくつか挙げていきましょう。

日本食のグローバルな波と市場の拡大

味噌ブームの最大の原動力は、日本食の世界的な広がりです。寿司や天ぷら、ラーメンといった代表的な日本食と並び、味噌汁は「和食の顔」として世界中に浸透してきました。

特に、2013年に「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことは、日本食の価値を一気に国際的に認めさせ、味噌への注目を大きく高める転機となりました。

また、マンガやアニメの影響も日本食への関心を後押ししています。作品内で登場人物が味噌汁を飲むシーンなどが描かれ、海外のファンの間でも日本の食文化への興味が高まっています。

これらの結果、海外における日本食レストランの数は2013年に約5.5万店であったのが、2017年には約11.8万店、2023年には約18.7万店に急増しました。

※出典:農林水産省「日本食の魅力と今後の展開方向」

ほかにも、若者を中心としたSNSで、味噌を使ったレシピや関連動画のハッシュタグの再生数が5億回を突破するという驚異的な数字を記録しています。

うま味成分の強さと汎用性

味噌は、どんな料理にも深みを加える「万能な調味料」であることも普及に寄与しています。

味噌には昆布やチーズ、熟成肉にも含まれるうま味成分である「グルタミン酸」が豊富に含まれており、ほかの調味料ではなかなか再現できない深いコクと複雑な風味を生み出しています。

また和食の粋をはるかに超え、さまざまな食材、多様な国の料理に応用されています。ミシュラン星つきレストランのシェフも、味噌を入れることで料理にコクをプラスしたり、全体の味のバランスを整えたりと、さまざまに活用しています。

栄養価の高さと健康志向の高まり

味噌はプロバイオティクス、ビタミンB群、ミネラルなどを豊富に含む発酵食品の代表格です。特に味噌に含まれる乳酸菌は腸内環境の改善や免疫力の向上に役立つとされていることから、健康意識の高い国々で人気が高まっています。

特に食事に制限があるヴィーガンやベジタリアンの人々にとっては「必須の調味料」として高い支持があると、アメリカのメディアでも紹介されているほどです。

世界における味噌の輸出動向

味噌の輸出量は長期的に増加傾向にあり、世界市場での存在感を強めています。

輸出量は1990年に約2,800トン、2010年には1万トン、そして2024年には2万3,000トン超えにまで急増しています。金額ベースでも右肩上がりの成長が続いており、2000年には約11億6,000万円であったのが2017年には約33億3,000万円、そして2024年には63億1,200万円になりました。

※出典:全国味噌工業協同組合連合会「みそ輸出実績」

味噌の輸出先は現在60か国以上にのぼるともいわれており、グローバルな広がりを見せています。特にアメリカやイギリス、韓国は輸出量が多く、中国や台湾、オーストラリア、オランダ、ドイツなどの国々でも味噌の需要が着実に伸びています。

こうした広がりは、味噌が世界中の食卓に受け入れられていることを示しています。

また健康への意識の高まりを背景に、「オーガニック」「グルテンフリー」といった要素が欧米や東南アジアを中心に重要視されており、こうした付加価値のある味噌製品の需要拡大にもつながっています。

また、イスラム圏ではハラール認証を取得した味噌のニーズも増えています。

こうした世界的な健康志向や多様な食文化への対応が、味噌の輸出拡大を後押ししているといえるでしょう。今後も、日本の食文化を代表する調味料として海外市場でのさらなる飛躍が期待されます。

現地で楽しまれている味噌の意外な使い方

味噌は日本の伝統的な調味料でありながら、世界各地でその個性を生かしたユニークな使い方をされています。現地の食文化と融合した「意外な味噌の楽しみ方」をいくつかご紹介します。

料理の「隠し味」として

アジアでは、和風の味噌ディップが注目を集めています。

味噌に酢やレモン汁などを加えることでさっぱりとした風味が生まれ、生春巻きとの相性も抜群です。さらに、マヨネーズやヨーグルトを加えてアレンジを楽しんでいるほか、タイのスープ料理であるトムヤムクンに白味噌をブレンドして、辛味をマイルドにしつつコクを加える工夫も見られます。

「ローカルフュージョン」料理

韓国では、コチュジャンと赤味噌を合わせたピリ辛味噌が韓国風味噌(テンジャン)の代わりとして、焼き肉やスープなどに使われています。イタリアでは、白味噌とパルメザンチーズを組み合わせたブルスケッタ(パンにディップなどを載せた料理)も登場しています。

味噌の魅力をスイーツにも

アメリカでは、白味噌を生クリーム、砂糖、バターと煮詰めて作る「味噌キャラメルソース」がSNSで話題となり、バニラアイスやパンケーキのトッピングとして人気です。

また、ダークチョコレートと白味噌を合わせた「味噌チョコレートガナッシュ」も、ニューヨークで好評を博しています。

さらにイギリスでは、白味噌にクリームチーズとレモンを組み合わせた「味噌チーズケーキ」、オーストラリアでは味噌入りのスムージーが登場し、スイーツ界でも味噌の可能性が広がっています。

味噌のグローバル展開と企業の取り組み

ここでは、日本企業の海外進出を成功させた事例を紹介します。

マルコメ:味噌を「世界のMISO」へ

マルコメは、「日本の味噌」から「世界のMISO」へというビジョンのもと、積極的な海外展開を進めています。

アメリカ・ロサンゼルスに工場を構えて製品開発と販売を行い、味噌の普及に貢献。イスラム教徒向けには、日本ハラール協会の認証を取得した「ハラール 料亭の味」を開発し、有機原料で健康志向の消費者にも訴求しています。

また、東南アジアでも味噌の販売促進を展開中です。マレーシアでは健康志向の強い中国系住民を中心に人気を博し、味噌が現地の人気食材トップ5に入るほどの浸透ぶりです。

※出典:マルコメ株式会社「海外での取り組み マルコメの”味噌”を世界の”MISO”へ」

ひかり味噌:オーガニックとデザインで世界へ

長野県に本社を構えるひかり味噌は、海外向けに「Organic Miso」シリーズを展開し、60か国以上に輸出しています。

麦・鰹昆布・玄米・西京・白・赤の6種を揃えており、なかでも白味噌は売れ筋商品で、オーガニックかつグルテンフリーであるため健康志向の消費者に人気です。小袋のわかめ入り即席味噌汁にはハラール対応品もあり、多様な食文化への配慮が伺えます。

加えて同社では、風味を損なわずに保存性と使いやすさを両立したフリーズドライ顆粒も開発しています。味噌汁はもちろん、ソースやドレッシング、マリネなどさまざまな料理への応用が可能です。

※出典:ひかり味噌「海外事業」

宝来屋:コーシャ認証で中東市場へ

福島県の老舗企業・宝来屋は明治39年創業の麹製品メーカーで、約12種類のコーシャ認証製品を展開し独自のアプローチを行っているのが特徴です。

コーシャ認証はユダヤ教の食規定に基づくもので、同社は味噌だけでなくこの認証を取得した醤油などをイスラエルへ輸出するなど、中東市場にも進出しています。

※出典:宝来屋「世界の取り組み」

まるや八丁味噌:伝統と革新の融合

愛知県のまるや八丁味噌は、2年以上熟成させた伝統的な八丁味噌を使用し、低温焙煎してパウダー状にした「八丁味噌パウダー」を販売。アイスクリームやクッキー、グラタンなどにも使えるよう提案し、味噌の新しい使い方を海外市場に紹介しています。

原材料は大豆と塩のみで、賞味期限も長く軽量で持ち運びしやすいため外国人にも扱いやすい製品として人気を集めています。

※出典:一般社団法人ハラル・ジャパン協会「日本の食品輸出 EXPO 2019~味噌のハラル・コーシャ・ヴィーガン売れ筋徹底調査」

まとめ

味噌は「和食の調味料」という固定観念を打ち破り、世界中の食文化に自然に溶け込みながら、新たな味の可能性を生み出す「万能調味料」として、その地位を確立しつつあります。

各国の嗜好や食文化に合わせた商品開発、健康志向・宗教的配慮を取り入れた多様な製品展開が進んでおり、味噌の新たな価値が創出されています。

今後も、味噌の持つ深い味わいと汎用性が、世界中でさらに注目を集めていくことが期待されるでしょう。

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