屋台文化のインドネシアでたこ焼きブーム到来 日本の味「築地銀だこ」やオリジナル味が人気
日本食はすでに世界中に広まっており、インドネシアも例外ではありません。特に最近インドネシアでは「たこ焼き(Takoyaki)」の人気が出始めたようです。
そもそも日本のたこ焼きは、インドネシアの食文化とマッチしていたのでしょうか?そして、インドネシアで流行中の「Takoyaki」は、日本のたこ焼きと同じものなのでしょうか?
今回はこれらの疑問に答えながら、インドネシアにおけるたこ焼き事情をご紹介していきます。
インドネシアの食文化とは
インドネシアは、およそ300の民族が暮らす他民族国家です。法律で宗教を信仰することが義務付けられており、国民の約88%がイスラム教徒です。
イスラム教で食べることが禁止されているのは、豚肉とアルコールです。日本では、よく魚介類の匂い消しに料理酒を使いますが、イスラム教では酒で処理された食材は口にすることができません。
また多民族国家であるインドネシアには、様々な食文化があります。辛味のあるもの、甘味が強いもの、生野菜を豊富に使ったもの、観光客に好まれるようにアレンジされたものなど、バリエーションが豊かです。
とはいえ、どの料理も味が濃い傾向にあるようです。そのためインドネシア人は味付けの濃い料理を好む傾向にありますが、
食通の人たちの中には、日本食のような薄味を好む人もいます。
インドネシアでたこ焼きが普及してきている?
インドネシアで今、たこ焼きの人気が広がっているのは事実です。たこ焼きが普及し始めたのは、屋台グルメで人気があったことがきっかけのようです。
インドネシアの首都ジャカルタには、さまざまな屋台グルメが楽しめる屋台通りがあります。この屋台グルメの1つにたこ焼きがあり、ファンが徐々に増えていったのでしょう。
今となっては、ジャカルタにあるショッピングモールの中に、たこ焼きが食べられるお店があるほどです。例えば、「Shitako Coffee House」と呼ばれる日本食レストランでは、寿司や照り焼きチキンだけでなく、たこ焼きも提供しています。
この「Shitako Coffee House」は、北ジャカルタにある巨大なショッピングモールに入っています。日本で例えると、ショッピングモール内にあるレストラン街のうちの1店舗が「Shitako Coffee House」というイメージです。
そして、2015年5月、日本でも有名なイオンモールがインドネシアでオープンしました。ジャカルタ南西部に位置する「イオンモールBSD CITY」の最大の特徴は、利用客にバラエティ豊かな食を提供することです。
最大級のフードコートやレストランの中には、もちろん日本食も入っています。その中の一つが、日本でも人気の高い「築地銀だこ」です。
たこ焼きは日本と同じものなのか
日本食ブームが広まっているインドネシアでは、屋台やショッピングモールの普及が後押しとなり、たこ焼きが人気になっていることがわかりました。
次からは、前述した「Shitako Coffee House」と「築地銀だこ」で売られているTakoyakiが、日本のたこ焼きと同じものなのか?について見ていきます。
Shitako Coffee Houseのたこ焼きメニュー
Shitako Coffee Houseのたこ焼きの具には、全部で4つの種類があります。選べる具材は、「Octopus(タコ)」「Beef(牛肉)」「Chicken(鶏肉)」「Cheese(チーズ)」です。面白いことに、Shitako Coffee Houseではお好み焼きも提供しており、たこ焼きと同じ4つの具から選べます。
タコ以外の3つの具材について、少し説明していきます。たこ焼きの具材に豚肉がないのは、宗教上の理由です。牛肉や鶏肉に関しては、インドネシアでは消費量が高く、特に牛肉は人気があります。
世界最大級の統計調査を行うStatista社のデータによれば、2020年のインドネシアにおける一人当たりの年間牛肉消費量は2.18kgでした。2025年には、2.3kgにまで増加することが予想されています。
そしてチーズに関しては、インドネシアのソウルフードと言っても過言ではありません。屋台でよく見かける料理として、山盛りのチーズがかかったトーストやチーズがトッピングされた焼きバナナなど、チーズ味は大人気です。
Shitako Coffee Houseのたこ焼きの具は、タコだけではないため、日本のものとまったく同じとは言えません。ただ、インドネシアでの肉やチーズの人気を考えれば、たこ焼きの具材となるのは納得ができます。
築地銀だこのたこ焼きメニュー
築地銀だこのたこ焼きと言えば、「外はカリカリ、中はクリーミー」なのが特徴です。このおいしさはインドネシアでも再現できているのでしょうか?
実は、海外にも店舗を持つ築地銀だこは、どの国でも同じ味が再現できるように半自動のたこ焼き機を開発しました。このたこ焼き機のおかげで、インドネシアでも日本と同じたこ焼きが味わえます。では、気になるたこ焼きメニューを見ていきましょう。
インドネシアの銀だこでは、3種類のTakoyakiが味わえます。日本でも定番の「オリジナルソース」「チーズ明太子」、そしてテリヤキソースの上にたまごサラダをトッピングした「てりたま」です。もちろん具材はタコなので、日本のたこ焼きと同じTakoyakiがインドネシアでも楽しめるのです。
そもそも、築地銀だことフランチャイズ契約を結んだインドネシア大手「フーズ・ビバレッジ」の取締役が、銀だこの大ファンだったようです。日本へ旅行した時に食べたことをきっかけに、このおいしさをインドネシアにも広めようと強く思ったそうです。
築地銀だこのたこ焼きは、今ではインドネシアですっかり受け入れられています。
まとめ
今回は、インドネシアで広がりつつあるたこ焼き事情についてお伝えしました。
イスラム教徒が多いインドネシアでは、豚肉を食べることは禁止されています。しかし、その他の肉と魚介類は、インドネシアではとても親しみがある食材のようです。たこ焼きの普及は、屋台フードから始まり、今ではショッピングモールでも購入できるようになりました。
今回ご紹介した「Shitako Coffee House」のたこ焼きは、日本のものとは少し異なっていました。タコ以外にも具材が「牛肉、鶏肉、チーズ」から選べ、どちらかと言えばインドネシア風にアレンジされたメニューになっているようです。
これに比べ、イオンモールに入っている「築地銀だこ」は、日本のたこ焼きと同じものを提供していることがわかりました。
このような事情から、イスラム教徒でも安心して楽しめる日本のたこ焼きは、インドネシア全土でますます広がりを見せていくことは間違いないでしょう。