ほかにはない食感!日本のヘルシーフード「こんにゃく」に世界が注目

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現在、日本産のこんにゃくがヘルシーフードとして世界中から注目されています。

グルテンフリーやビーガンの料理にも使用できる食材であることから、海外ではKonjac(コンジャック)という名で大人気です。

今回は、こんにゃくの歴史や近年の輸出状況について解説したあと、海外でこんにゃくに人気が出た理由と、日本では見られないこんにゃくレシピについてご紹介していきます。

こんにゃくが食べられていたのは日本だけ?

ここでは、こんにゃくの歴史とこんにゃくが定着している国についてご紹介します。

こんにゃくの歴史

日本では日常的に食べられているこんにゃくですが、もともとは中国から伝わった食材です。縄文時代に植物として伝来したのが始まりだとされています。

こんにゃくの作り方についての最古の記載があるのは、平安時代の百科事典「和名類聚抄」という書物です。

ただし、平安時代のこんにゃくは庶民の味ではなく、精進料理として貴族だけが食べていた可能性が示唆されています。その後、仏教が広まった鎌倉時代以降には庶民の間でも食べられるようになりました。

現在のようにこんにゃくが日本全国に広がったのは、江戸時代という説が強いようです。従来の作り方ではすりおろしたこんにゃく芋を原材料としていましたが、この時代にはこんにゃく芋を乾燥させた粉に変えたことで、保存と輸送にとても便利になりました。

こんにゃくが定着している国

中国から日本へ伝わったこんにゃくですが、日常的に食べるまでに定着しているのは日本だけです。

もともと肉を食べない農耕民族であった日本人にとって、肉のような食感があるこんにゃくの噛み応えや弾力性は魅力的だったのでしょう。

最近では、中国でもこんにゃくが普及し始め、しらたきやこんにゃく麺などがオンラインショップで購入可能となりました。

また、中国だけでなく、アメリカやヨーロッパでもKonjacとして広く知られており、特にドイツでは若年層に人気が高いようです。

こんにゃくの輸出状況

近年はアジア圏だけでなく、欧米へのこんにゃくの輸出も増えているようです。ここでは、こんにゃくの輸出額の傾向と輸出先国について解説します。

輸出額

日本最大のこんにゃく芋の生産地といえば、日本産シェア90%以上をもつ群馬県です。1500年代からこんにゃく芋の生産が始まり、現在では海外への輸出を積極的に行っています。

一般財団法人日本こんにゃく協会の調査によれば、2023年度のしらたきやこんにゃく麺などを含むこんにゃく加工品の輸出額は、13億9,700万円に至りました。

2019年度には5億4,000万円の輸出額だったものが、翌年の2020年度には2倍の11億4,200万円を計上し、その後も増加傾向にあるのです。今後もこんにゃく加工品の輸出額は、順調に上がっていくことが期待されています。

輸出国

こんにゃく加工品の輸出国トップはアメリカ、これに続くのが香港です。ほかには、シンガポールやフランス、イギリス向けの輸出が多く、欧米や東南アジア向けが主な輸出先となっていることがわかります。

出典:一般財団法人日本こんにゃく協会 「2023年度のこんにゃく加工品輸出金額は約14億円」

これらの国では、新型コロナウイルスパンデミック後に健康志向の高まりが見られ、こんにゃくはヘルシーフードだと広く認識されているようです。

海外でこんにゃくの人気が高まっているのはなぜ?

現在、世界中で食べられるようになったKonjacですが、高い人気の理由は何でしょうか。ここでは、考えられる3つの理由について解説していきます。

ローカロリー

ほとんどが水分でできているこんにゃくは、100gあたり約7キロカロリーしかありません。

欧米にはこんにゃくのような食感の食べ物がなく、以前は敬遠されていましたが、最近はヘルシーフードとして人気があります。カロリーが低いということもあり、ダイエット中の食材としてもよく利用されています。

また、こんにゃくには「グルコマンナン」と呼ばれる水溶性食物繊維が多く含まれています。グルコマンナンの特徴は、水と混ざることで膨らみ、膨満感が得られることです。

ダイエットに効果的なだけでなく、便通も改善してくれるヘルシーフードとしての地位を確立しつつあるのです。

グルテンフリー

グルテンとは、小麦や大麦などに含まれるタンパク質のことです。もともとは自己免疫疾患のセリアック病患者への食事として、グルテンフリー食が提供されていました。

その後、世界的に知られるテニスプレイヤーが、「グルテンフリーの食事で体の調子が良くなった」という旨の著書を出版したことで、グルテンフリーの食事を実践する人が増えています。

こんにゃくはこんにゃく芋が原材料であり、グルテンは含まれていません。海外では、しらたきがグルテンフリーの食材であることが紹介されています。

ビーガン

動物性食品を一切口にしないビーガン需要に対しても、こんにゃくは十分にその条件を満たしています。

群馬県富岡市に本店を構える有限会社ツトム食品は、群馬県産こんにゃくの製造・販売を手がけている会社です。この会社のヒット商品は、こんにゃく粉に大豆タンパク質を加えた大豆こんにゃく麺「Soy Nyack(ソイニャック)」です。

水洗いをしてソースをかけて食べるという手軽さも人気で、パスタやサラダとして食べられます。

Soy Nyackは現在、欧米の約10か国と取引があり、ツトム食品には、今後も世界に向けてこんにゃくの良さを発信したいという強い想いがあるようです。

海外で食べられているこんにゃくレシピとは?

海外には、日本では見られないこんにゃくレシピがあります。ここでは、イタリアと台湾を例に挙げてご紹介していきます。

イタリア

イタリアで「ZEN PASTA」といえば、乾燥しらたきのことを指します。

日本のしらたきは水に入った状態で売られており、独特の匂いがするのが特徴です。これに対して、イタリアのZEN PASTAは乾燥させてあるため、匂いもなくパスタ感覚で調理することが可能です。

イタリアのパスタ消費量は日本の約14.2倍あるといわれており、ZEN PASTAはローカロリーなヘルシーパスタとしてイタリアの食文化に合っているようです。

通常のパスタと違って小麦ではなくこんにゃく粉から作られていいますが、カルボナーラやトマトソースなどに絡めて、パスタと同じ感覚で食べることができます。

また、ZEN PASTAには麺タイプだけでなく、ZEN PASTA RICEというお米の形をしたものもあります。リゾットやパエリヤなどお米の代わりとして使用可能で、糖質が少ないことからも重宝されているようです。

台湾

台湾には、独自のこんにゃく文化があります。台湾のスイーツ店に行くと、トッピングの中に「蒟蒻」という選択肢を見かけることが多いです。

また、台湾みやげの定番パイナップルケーキにこんにゃく粉を混ぜ、モチモチ感を出したり、味付けしたこんにゃくを乾燥させてチップスにしたりと、さまざまな種類のお菓子が楽しめます。

そして、最近ブームとなっている台湾のスナック菓子に「こんにゃく玄米ロール」があります。日本でも卵黄味とのり味が販売されており、外側はザクザク、内側は柔らかくてクリーミーというユニークな食感が味わえるお菓子です。

このお菓子の原材料には、名前にもあるとおり玄米とこんにゃく粉が使用されてており、台湾独自のこんにゃく粉の使い方といってもよいでしょう。

まとめ

こんにゃくは中国から伝わった食材ですが、定着したのは日本だけでした。こんにゃくの輸出額は2019年以降増加傾向にあり、海外でのこんにゃく需要の高さが伺えます。

海外ではKonjacとして広く知られており、人気が出た理由としてはローカロリーであること、グルテンフリーやビーガンといったトレンドに合った食材であることが挙げられます。

世界各国で受け入れられた日本のこんにゃくは、その国の食文化に合わせて今後も進化を続けていくことでしょう。

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