アメリカ、中国向け輸出額トップの意外な食品

最終更新日

突然ですが、クイズです!

日本から海外に輸出していて2022年輸出額トップの食品は何でしょう?

ヒント。寿司や日本食レストラン向けとして中国やタイ、台湾などへの輸出が好調の農林水産物です。

そうです。答えは「ホタテ」です。

2022年の輸出額トップは、ホタテで910億円でした。ちなみに2位と3位は以下の通りです。

<2022年農林水産物輸出額トップ3>

1位:ホタテ貝   910億

2位:ウイスキー 560億

3位:牛肉    520億

ホタテをなめるなよ!

2022年に、とある企業が日本人100名に、

「ホタテが日本の農林水産物の輸出額で4年連続1位だと知っていましたか?」

というアンケートを実施したところ、

「知っていた」と回答した人が4%、

私自身もここ数年、日本の牛肉やウイスキーが海外に人気で、日本からの輸出量も右肩上がりに伸びているということは知っていましたが、日本の「ホタテ」がそれほどまでに海外に売れているとは知りませんでした。40年ほど前、「ホタテをなめるなよ」という歌詞の歌がありましたが、まったくそのとおりですね。

「知らなかった」と回答した人が96%にのぼることがわかりました。

なぜ日本のホタテ?

2022年は為替で円安が進んだため、海外で日本の農産物などの割安感が高まったほか、コロナ禍で落ち込んだ外食需要が中国、アメリカなどで回復し、輸出を押し上げたと言われています。その中でも日本で生産される魚介類で2023年現在、世界で最も人気を集めているのがホタテです。農林水産省によると、ホタテは海外の日本食レストランで生食用として提供されるため、アメリカなどでとれる小ぶりなホタテよりも、貝柱が大きい日本のホタテのほうが海外で好まれ、輸出が増加しているようです。

また日本のホタテが人気な理由として、品質を保持したまま輸出できるという点があげられます。他国ではホタテは水揚げされた後、陸上でそのまま保管されるケースが多いのですが、日本のように水揚げされてすぐに冷凍加工する方がより鮮度が高く、「日本産ホタテ」の価値をさらに広めているのではないでしょうか。

隠れたプロモーション努力

日本産の食品のブランディングのために設立された「日本食品海外プロモーションセンター」が2022年に香港とタイで日本産のホタテやブリなどの大々的な消費拡大キャンペーンを催しました。地元の人気料理人に依頼してレシピを開発したり、インフルエンサーが協力飲食店を訪問し、日本産のホタテやブリを使ったメニューを味わう様子を動画配信したり、海外プロモーション情報発信を行なったそうです。海外でのホタテ人気はこのようなプロモーションの努力も一役買っていると言えるのではないでしょうか。

ホタテの輸出は今後どうなるのか?

海外向けホタテは中国向けが4割、アメリカ向けが2割、ふたつの国で6割を占めています。このまま右肩上がりで売れ続けるかというと、そうとも言い切れないようです。
アメリカのホタテ供給不足は収まりつつあり、ホタテの漁業規制も緩められるのではないかと言われています。アメリカが自国でホタテを確保できるようになった場合、日本からの輸入にどの程度の影響がでるか不透明です。
 
2021年から2022年にかけて、冬の爆弾低気圧の影響で日本の漁獲量は減っています。
過去に日本で大量のホタテが死んで輸出に大きなダメージが出たというケースもありましたので、状況を注意深く見守っていく必要がありそうです。

シェアする