アメリカでわさびといえばホースラディッシュ(西洋わさび)、日本のわさびは受け入れられるか

「わさび」と言えば、日本で知らない人はいませんが、アメリカで「wasabi」と言っても問題なく通じます。

それほどアメリカでも流通しているわさびですが、アメリカのwasabiは日本のわさびとは少し異なっているようです。これはわさびの種類が異なるからで、わさびの持つ独特の辛さにも影響を与えています。

そこで、今回は「アメリカ人が好むwasabiとは?」「日本のわさびとの違い」「アメリカでのわさびの使われ方」「日本のわさびはアメリカで受け入れられているか」について、順にご紹介していきます。

アメリカ人はわさびが好きって本当?

アメリカ人はわさびが好き、というよりも「わさび味」が好きなようです。

日本では、わさびをつけて寿司を食べるのは当たり前になっていますが、アメリカでは少し事情が違います。例えば、ニューヨークで販売されている寿司には、基本的にわさびは入っていません。その理由は、わさびが嫌いなアメリカ人もいるためです。

わさびが苦手な理由としては、ツンとくるような刺激が強い味に慣れていないためです。もともとアメリカでは、チリソースのようなピリッとくる辛味が好まれています。そのため、アメリカでは、ツンとした刺激がこない「わさび味」が好まれるようです。

実際、アメリカではわさび味の商品がたくさんあります。わさび味のポテトチップスやナッツ、チーズやビールなどさまざまです。

この中で、アメリカ人に人気が高いのは「Wasabi Peas」というスナック菓子です。これは、豆をわさびパウダーでコーティングしたもので、食べた後で長く続くスパイシーな辛さがやみつきになるようです。

出典:Amazon

アメリカのわさびは日本のわさびとは違うの?

アメリカのwasabiと日本のわさびでは、原料となっているわさびの種類が違います。

アメリカ人が好む「わさび味」には、わさびパウダーが使われています。この原料となっているのは「ホースラディッシュ」、別名「西洋わさび」と呼ばれる品種です。一方、ツンとくる刺激のある日本のわさびは「本わさび」と呼ばれています。

では、さっそくこの2つのわさびの違いを見ていきましょう。その違いには、大きく分けて「産地」「色」の2つがあります。

産地

ホースラディッシュは、寒さにとても強い北欧原産の植物です。一方、本わさびは渓流などきれいな水があるところで育つ日本原産のわさびです。

また、両者には栽培期間にも違いがあります。ホースラディッシュは約7〜8カ月で収穫できるのに対して、本わさびは約1〜2年の栽培期間が必要です。そしてこの栽培期間の長さは、価格にも影響を与えます。

「わさびは緑色」と思ってしまいますが、わさびパウダーに使われているホースラディッシュは白色です。では、どうやって緑色になるのでしょうか?それは、白いホースラディッシュに着色することで、緑色のわさびに仕上がります。

一方、日本の本わさびは黄緑色をしており、着色する必要はありません。

アメリカでのわさびの使われ方

ホースラディッシュの使用がアメリカでは主流となっていますが、一体どのように使われているのでしょうか?アメリカのシェフたちはわさびを寿司や刺し身だけでなく、ステーキや牡蠣、スフレなど多様に使っています。

例えば、ニューヨークに店を構える「Mark Joseph Steakhouse」は、多くの客からおいしいと高評価を得ているレストランです。ここのステーキの付け合わせは「わさび味のマッシュポテト」。ステーキだけでなく、このマッシュポテトのファンも多くいるようです。

では、家庭ではどのようにわさびが使われているのでしょうか?一番人気は、やはりわさびマヨネーズです。Wasabi Mayoとして市販されており、フライドポテトやサンドイッチに使うなど、用途はさまざまです。

他にも、焼いたサーモンやチキンに添えるわさびソースや、サラダにかけるわさびドレッシングなども人気があります。

そして、最近ではビーガン向けにわさびを使った「フムス」のレシピもよく紹介されています。

「フムス」は野菜やフルーツにつけたり、パスタやサラダに混ぜたりと、多様な使い方ができる一品です。

わさびを使うと一瞬にしてフレッシュな味を楽しめることが、わさび味が人気の秘訣のようです。

日本のわさびはアメリカで受け入れられているか

日本で見られるわさびのタイプには、大きく分けて2つあります。1つは、日本の家庭の冷蔵庫によくある「チューブ入りわさび」、そしてもう1つは、高級料亭などでよく提供される「すりおろしわさび」です。

この2つのタイプのわさびは、アメリカで受け入れられているのでしょうか?最後は、こちらについてご紹介します。

アメリカのわさび事情 1.チューブ入りわさび

チューブ入りの緑色のわさびは、アメリカのスーパーマーケットに行けば購入可能です。

そして、アメリカにはWhole Foods Marketというオーガニック商品に力を入れている高級スーパーマーケットがあります。

実はここにもチューブ入りのわさびが置かれており、健康志向のアメリカ人をターゲットにしています。

またアメリカのスーパーマーケットには、パック入りの寿司がよく置いてあります。パックの中にわさびは入ってないのですが、小さいパック入りのわさびが寿司コーナーの脇に置いてあることが多いです。わさびの好き嫌いはあったとしても、アメリカでわさびの存在は当たり前になっているようです。

アメリカのわさび事情 2.すりおろしわさび

スーパーマーケットにもあるほど、寿司はアメリカで人気がある食べ物です。もちろん、アメリカには寿司レストランが数多くあります。その中でも高級な寿司レストランとなると、魚などの食材だけでなく、わさびにまでこだわりを持つところもあるようです。

例えば、ワシントン州で日本食レストランを経営する日本人シェフは、100%の本わさびを寿司と共に提供しています。こだわりの寿司と一緒に本物のわさびも味わえるこのレストランは、地元の人からの評判がとても高いようです。

食通にはたまらないツンとくる本わさびの味は、まだアメリカでは広く知られていないのかもしれません。しかし、本物のすりおろしわさびの味は、一部のアメリカ人に認められていることは間違いありません。

まとめ

今回はアメリカのわさび事情や、日本のわさびとの違いなどについてご紹介しました。

アメリカでは、ツンとこないわさび味に人気が集まっているようです。このわさび味に使われているのは、ホースラディッシュと呼ばれる西洋わさびで、日本の本わさびとは違う品種であることがわかりました。

本わさびでなくとも、西洋わさびはいろいろな商品に使われており、アメリカではすでに浸透しているスパイスと言っても良いでしょう。

また日本の本わさびに関しても、一部の寿司レストランで提供され、地元の人に受け入れられています。本物のわさびの味は、これから時間をかけながらアメリカ全土に広がっていくことが期待できます。

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