海外で人気の日本の調味料
農林水産省は毎年4月に「農林水産物・食品の輸出実績」を公表しています。2022年の輸出額が発表されている調味料は以下の通りです。
・みそ5,077,000,000円
・しょうゆ9,396,000,000円
・ソース混合調味料:48,380,000,000円
(ソース混合調味料とは中濃、濃厚、ウスターソース、マヨネーズ、ドレッシング、焼肉のたれ等が含まれます。)これらの調味料の輸出先は中国、香港、台湾、ベトナムなどほぼアジア方面です。アジアの日本の調味料に対する人気をうかがい知ることが出来るのではないでしょうか?
2018年、あるコミュニティサイトが、インドネシア・タイ・マレーシア・台湾・香港のアジア5カ国の会員に対して
「知っている日本の調味料」、「食べたことのある日本の調味料」、「好きな日本の調味料」
は何かというアンケートを実施したそうです。
その結果、「知っている日本の調味料」、「好きな日本の調味料」の1位~3位は、しょうゆ、わさび、みそで占められていたそうです。今やしょうゆ、わさび、みそはアジアの人々にとっても特別な調味料ではないと言えるのではないでしょうか?
家庭だけでなく、日本料理レストランで刺身や寿司を食べた場合も含むと、やはり醤油、わさび、みそが上位に入るようです。
ただし、インドネシアでは「好きな日本の調味料」2位と、「食べたことがある日本の調味料」3位に「マヨネーズ」がランクインしています。アセアンにマヨネーズを販売しているメーカーの中にはハラール認証を取得してムスリム向けにも販売している会社もあるため、人気に一役買っているのではないでしょうか。
醬油は海外でも万能調味料⁈
日本の調味料と言えば、真っ先に思い浮かぶのが「醤油(しょうゆ)」ではないでしょうか?海外でもsoy sauceとして利用されている醤油ですが、はたして海外ではどれほどの知名度があるのでしょうか。
醤油の歴史はとても古く、数百年前から我々日本人の食生活を豊かにしてきました。
しかし現在は外国人にも受け入れられ、好まれる傾向にある調味料で、すでに家庭料理や母国の料理でよく使っているという国もあり、想像以上に醤油はグローバルに受け入れられている存在のようです。
和食だけでなく幅広く使える調味料だけに、醤油を使ったメニューの広がりも期待でき、日本ではあまり考えられないような新鮮な使い道も出てきそうです。
欧州のミシュランシェフたちは隠し味として醤油を使っているそうで、マカロンの生地にうっすら塗るなどして使うパティシエもいるそうです。
ルーツは海外、今では日本の調味料
元々は海外がルーツの調味料なのに日本生まれ、今では海外のスーパーマーケットにも並ぶ日本の人気の調味料を3つ紹介したいと思います。
1.ポン酢
「ポン酢」の「ポン」はオランダ語の「pons(ポンス)」からきています。お酒に果汁やソーダや砂糖を加えたアルコール飲料、一種のカクテルのことを言います。当時のオランダ人は夏の暑さを防ぐために、このponsを飲んでいたようです。
ポン酢の材料は主に、酢・醤油・柑橘類で、この3つさえあればポン酢が出来てしまいます。ポン酢は、サラダのドレッシグや、肉料理のマリネ液、シーフードの付けダレ、中華料理にも使える調味料です。特にゆずやすだちなどの日本の柑橘類が使われている商品では、香りも華やかになり、食欲が増します。
海外サイトで、一度は食べてみたい世界15か国のソースが特集され、その中に日本のポン酢が”PONZU”として紹介されています。
(https://www.mentalfloss.com/article/76332/15-sauces-around-world-you-should-try)
2.ウスターソース
ハンバーグ、目玉焼き、フライなど日本のおかずにぴったりな「ウスターソース」。実はウスターソースはイギリスが発祥の地で、日本のウスターソースは本場をまねて製造したそうです。ところがレシピが公表されてなかったため、材料が全く分からず、推測で作ったところ、結果的にまったく味の違うソースが出来たそうです。しかし、今では食卓に無くてはならない世界に人気の日本の調味料の一つとなっています。
3.焼き肉のタレ
韓国では食べる前日から肉をタレに付け込んでいるため最初から味がついていますが、日本では肉になにかを付けて食べるため、焼き肉のタレは家庭でもお店の味が楽しめるということでヒット商品になりました。
焼き肉のタレで有名な日本の企業は、アジアの国にも進出しています。そこでは甘めの味付けが好まれるそうで、「焼肉のたれ 甘口」や「てりやきのたれ」などが人気です。また、それぞれの地域の食文化に合わせ、焼肉のたれに香辛料、甘味、酸味などを加えて、味を調整して販売しているそうで、この焼き肉のタレは、焼き肉の本場である韓国にも販売され、人気となっているようです。
日本の調味料が海外の味になる!?
日本の調味料についていろいろ調べていくうちに、海外では「日本食の人気」あってこその「日本の調味料の人気」ということに気がつきます。刺身や寿司に欠かせないしょうゆとわさび。味噌汁に必要なみそなどで、和食のための調味料として海外に紹介されていますが、いまでは海外のレストランで日本の調味料を使った料理を提供したり、アジアの家庭では夕食に日本の調味料を加えた料理で食卓を囲んでいる場面も多くみられるようです。
近い将来、海外の人々はしょうゆやわさび、みそなどを日本の調味料と意識しないで、自由に使って食事や調理を楽しむようになるのではないでしょうか。