爽やかさで世界を魅了!日本のゆずの認知度急上昇の理由とは?

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爽やかな香りを放つ日本産ゆずが、現在海外でも「Yuzu」として人気を集めているようです。日本が生産量・消費量ともにトップのゆずですが、アメリカやヨーロッパなどの世界各国において、その認知度と消費が高まりを見せています。

今回はゆずが海外でどのように活用され、どれほどの認知度があるのか、また、海外でのゆず人気の理由について詳しく解説していきます。

海外でゆずはどのように使われている?

日本では、ゆずは調味料や化粧品など、さまざまな用途に活用されています。一方の世界ではどのように扱われているのでしょうか?ここでは、主にヨーロッパとアメリカでのゆずの使われ方についてご紹介します。

フランス

美食の国として知られるフランスでは、ゆずはすでに定着している食材といえます。大きな町を歩けば、Yuzuという文字をよく見かけるほどの人気です。

プロのシェフの料理から一般の家庭料理まで、ゆずは幅広い料理に使われています。ミシュランガイド星付き一流レストランや一般食堂、チーズ専門店、菓子店など、ゆずを料理やスイーツに使うことが一般的になりつつあるようです。

実は、フランスでの高いゆず需要に応えているのが、高知県産のゆずです。高知新聞社によると、2022年の高知県産ゆずの輸出額は、7億4,400万円と過去最高を記録しました。そして、フランスが高知県産ゆずの輸出量トップなのです。

イギリス

強めの香りとピリッとした酸味が特徴のゆずは、イギリス国内でも浸透しつつあるようです。たとえば、レストランでは前菜や主菜にゆずが使用され、デパートではゆずを使ったスイーツが販売されています。

食品だけでなく、商品ラベルにYuzuと書かれた日用品も、イギリスのスーパーマーケットで買えるようになりました。ゆずを使ったハンドソープや衣類用洗剤など、ゆずの爽やかな香りの万能さが伺えます。

アメリカ

アメリカのスーパーにもゆず味の飲み物やお菓子が置かれるようになり、ゆずはアメリカでも徐々に広まりつつあるようです。

アメリカの有名なスーパー「トレーダー・ジョーズ」では、ゆずアイスが販売されており、オンラインショップではゆずソーダを購入することもできます。

また、ゆずを使った化粧水を取り扱う化粧品会社もあり、ゆずの用途は日本とほぼ同じといえるでしょう。

海外でのゆずの認知度とは?

海外には数多くの日本食レストランがありますが、その中には店名に「Yuzu」を入れたレストランも多く見受けられます。

こうしたレストランの多くでは、店名通り、ゆずを使った料理を提供していることもあります。たとえばフランスにあるレストラン「YUZU JAPANESE TASTE」では、ゆず風味のドリンクやデザートを提供しています。

特に人気なのが、デザートのゆずチーズケーキです。クリーミーで濃厚なチーズケーキにゆずがとても合うようで、すでにゆずデザートの定番の地位を獲得していると言ってもよいでしょう。

海外において、ゆずを使った料理レシピを紹介しているサイトが増えているのも事実です。ゆずチーズケーキやゆずシャーベットなどのスイーツをはじめ、ゆずポン酢やゆず塩ラーメンのように、日本でもよく食べられている料理が多いようです。

また、グループ名にYUZUを冠している企業が、タイのバンコクにあります。この「YUZU GROUP」は、1億バーツ(約4億5,000万円)をレストラン事業に投資するタイでは著名なフードチェーン企業です。

バンコクにてYUZU SUSHIやYUZU RAMENなどのレストランを展開し、ゆずのおいしさを広めています。

このように、日常的にYuzuという文字を見かける機会が増えており、海外でのゆずの認知度は高いと考えられます。

ゆずが海外で人気を得ている3つの理由

ここでは、ゆずが海外で人気を得た3つの理由についてご紹介します。

健康効果

新型コロナウイルスの流行後、各国で健康志向の人々が増加しました。この影響もあり、健康効果が期待されるゆずに興味を持つ人も増えたといえるでしょう。

ゆずには多くのビタミンCが含まれており、古くからかぜの予防に効果があるといわれていました。柑橘類の中でもゆずに含まれるビタミンC量は多く、ゆず1個分で一日に必要なビタミンC量を満たすといわれています。

ビタミンCはそばかすやしみを予防する効果が期待されるだけでなく、冷え性や血流の改善もできると考えられています。

爽やかな香り

ゆずの爽やかな香りにはリフレッシュ効果があり、ストレスの多い現代社会にも合った食品です。

さらにこの爽やかな香りを活かし、ゆずは食品としてだけでなく、嗜好品である香水にも使用されているのです。たとえば、伝統的な香りにこだわりつつ、常に斬新さを追い求めるフランスの香水ブランド「BON PARFUMEUR(ボン パルフュムール)」では、ゆずの香りの香水を販売しています。

購入者からの評価も高く、ゆず特有の香りに魅了されているようです。

また、オランダの香水ブランド「PERFUME LOUNGE(パルフューム ラウンジ)」でも、数種類のゆず香水を購入可能です。PERFUME LOUNGEのオンラインショップでは日本の冬至の習慣とともにゆずが紹介され、個性的な香りが賞賛されています。

もともとオレンジやレモンなどの柑橘類の香りは、香水として親しまれてきた長い歴史があります。親しみのある柑橘類の香りでありながら、これまでとは一味違うゆずの爽やかな香りは、海外でも受け入れられやすいものと考えられます。

さまざまな料理に使える

海外のレストランでも使用されていることからわかるように、ゆずはさまざまな料理に適した食材だといえるでしょう。

ゆずは果肉だけでなく、皮や果汁も料理のレシピの材料となります。ゆずの皮はスイーツのトッピングとして、果汁はアルコール飲料やドレッシングなど、飲み物や調味料の材料として使えます。

甘いものにもしょっぱいものにも合うゆずは、万能な果物と言っても過言ではありません。

ゆずの認知・消費のさらなる拡大に向けて

ここまで海外でのゆずの認知や消費について紹介してきましたが、最後にさらなる海外輸出のための取り組みとして、高知県北川村の例を紹介します。

北川村といえば、かつては日本トップのゆず生産地として有名な村でした。しかし、日本のゆず生産地が拡大したことから、トップの座を譲ることになりました。

その後、北川村はゆず生産量トップへ復帰をかけ、海外輸出のための販路拡大をはかってきました。フランスやシンガポールの海外バイヤーやメーカー関係者と積極的に交流し、北川村産ゆずを使用した商品の販売につなげています。

このように、海外輸出に向けて積極的な取り組みがあるゆずですが、実は問題点もあります。それは、海外へゆずを輸出する際に求められる残留農薬基準を満たすのが難しいことです。

残留農薬に対して日本よりも厳しく取り締まる国が多いため、国内では無農薬栽培でゆずを栽培する必要があります。

現状では、農業協同組合が無農薬栽培されたゆずの果汁を海外輸出用として確保しています。ただし、将来的に増えると予想されるゆずの海外需要には対応しきれない可能性もでてくるでしょう。

今後は、海外輸出に向けた無農薬栽培のゆずの生産を拡大することが、急務となると考えられます。

まとめ

日本が生産量・消費量ともにトップの日本産ゆずが、現在では世界のYuzuになっていることがわかりました。

日本と海外でのゆずの利用方法に大きな違いは見られず、主に食品や日用品、化粧品に使われています。街を歩けばYuzuという文字をよく見かけることもあり、海外でのゆずの認知度は高いといえます。

世界各国でのゆず人気は、健康効果やさまざまな料理に合うなどの理由から、今後も続くことが期待できそうです。

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